2019年 05月 21日
お題は「酔っ払いと老人力」 |
12年前の2006年にこのブログを始めた切っ掛けが、「忘れてしまうから、、、」でした。あれから12年経つと、いよいよ忘れ去る量と範囲が拡がっています。一番よくあるパターンが、お酒を飲んだ時です。それでも、ビール二杯ぐらいでは変わりませんが、ワインを一人換算で、一本半ぐらいまで飲むと、危なくなります。
若い頃には、お酒を飲むとまるっきり覚えていないという人がいると、そんなことはあり得ないと思っていました。ところが、40代の中頃だったでしょうか、焼酎を一升瓶で空けて二本目も相当飲んだとき、ある時点から記憶が全く無いと言うことに遭遇しました。その時は驚きました。酒の上のことだからといういい訳がありますが、まるっきり覚えていないという事実に恐ろしい事だと思ったからです。
そういう、バカな飲み方はやらなくなって久しいのですが、60歳を過ぎる頃から、酒量が落ちたというのか、老人力が付いたというのか、その時は、ハッピーな酒なのですが、次の朝になると、前夜の言動の一部を覚えていないと言うことに気がつきました。それで、体力的にも落ちてきたので、飲みすぎをやめて、特に深夜を過ぎて飲むようなことはなくしました。昔は、ハシゴしたあげくバーに乗り込み、ドライマティーニの様な強い酒を飲んで脳細胞を壊していたからです。
怖いのは、ここからです。お酒を飲まなくても、自分が感心があることは、それなりにフォロー出来ているのですが、興味の無い事や、自分に関わりが無い人のことは、まったく覚えられません。そんなことは当たり前だと思いますが、興味の無い事は覚えられなくなったのです。記憶する部分の短期メモリーがいっぱいになったのでしょう。短期メモリーが溢れると、長期メモリーのほうにも伝達されませんから、記憶に残りません。
もっともっと、恐ろしいのは、70年も使っているCPUの演算速度がどんどん落ちていることです。自分の思考速度が落ちると言うことは、自分の中の時間は同じなのに、思考速度が落ちているので、同じ事をするにも時間がおそくなり、相対的には時間が経つのが早くなって来ました。毎日、超高速で宇宙旅行をして、アインシュタインの理論の証明を行っているのです。
これは、どうやら自分だけに起こっている話ではなく、友人に聞いても、多少の早い遅いはありますが、皆同様の問題に突き当たっているようです。老人力で笑える内は良いのですが、老害と言われ前に身を処さなくてはなりません。
出張から帰ってきて、名刺入れを整理していたら、見覚えのない名前の名刺が出てきました。名刺の会社も覚えがないし、カタカナのタイトルも書かれてあり、第一そのお名前も記憶にありません。アドバイザリーとは相談役と言うことなのでしょうか?
お名前を検索してみました。すると、ゲーム関係の会社なのでしょうか、多方面にご活躍されている方で、インターネット上には、画像が一杯ありますし、ホームページやブログまで出てきました。
問題は、その方のお顔にまったく記憶が無いと言うことです。若いことからご活躍されているようで、三十代の頃から五十代後半のお顔の変遷も乗っていますが、その多様なお顔のすべてに見覚えがないのです。名刺交換したということですから、お若いときの写真は別として、一番最近のお顔を見てもどうしても思い出せないのです。弱りました。
最近、深酒したのは何時だったかと思い出そうとしても、深酒をしたこと自体を忘れていますから、その人とどのように名刺交換したか思い浮かばないのです。そこで、お酒を沢山飲んだのはと、数え始めると、一番最近は横浜のMさんとK.Oさんとの一昨日です。その時も、シャンパン、白と赤のブルゴーニュと飲んでいましたが、その時は、名刺交換するような相手はいません(笑)
その前は、先週の関西出張時です。でも、生ビール、ハイボール、酎ハイ、日本酒を二杯と全部覚えているぐらいですし、お客さんと一緒ですから、我をわすれる飲み方は最初からしませんし、知らない人と会ったこともありませんでした。雨がひどくて終わったらそのままホテルで寝てました。
となると、先週のアスパラの会になります。どんどんと繰り出される美味しいホワイト・アスパラのパレードに、最初から白ワインのマグナムボトルで飲んでいました。我々のテーブルだけで、三本ほど飲んでいましたし、私が一番飲んではいましたが、8人ですから、一人あたりではたかがしれています。しかし、時間が長かったので最後は酔いが回っていたのも事実です。
しかし、あの会に参加し始めて、10年経ちます。参加者のほとんどが顔見知りで、名刺交換する必要がありません。第一、ネットで拝見したお顔にはまったく見覚えがないのです。しかし、手元には、厳然とその方の名刺があるのです。
思い切って、会の主催者のAさんに電話してみました。『つかぬ事をお聴きしますが、先般の会で、どうやらKさんという方と名刺交換したのですが、Aさんはこの名前に聞き覚えがありますか」すると破顔一笑、Aさんの大きな声が響いてきました。何を言っているの、あなたの前に座っていた人が、Kさんだよ!もう十年も毎回あっているじゃないか!」
なんと言うことでしょう。そうです、毎年逢って、いろいろなことを話している、もと雑誌の編集者がそのKさんだったのです。別れるとき、同じテーブルの人がKさんに名刺をリクエストしていたので、自分もついでに貰ったのが、この問題の名刺だったのです。そのとき、会社も変わったからと言っていたのを思い出しました。フルネームで調べたら、偶然にもほぼ同じ業界に、同姓同名のKさんがおられたのです。その方のお顔を拝見しても、思い出せないのは当たり前ですね。
10年も気の置けない会話をしていながら、お名前もしっかり覚えていない自分のうかつさと、名前や肩書きでおつきあいしているわけではない、気楽な関係が、横文字の多い名刺とその方のイメージが一致しなくて、この笑い話になりました。
しかし、思い切って、Aさんに電話して良かったです。その背景には、老人力で記憶をどんどん失っている現実の自分と、Aさんのご努力で開催されているこのような貴重の会の存在、そして有限の時間を共有した、本来は縁もゆかりもないメンバーが偶然、席を同じくするということから生まれたからです。
今年は、常連のOさんが仕事でこれないので、パグ太郎さんをお誘いしました。今ひとかたは、常連の横浜のMさんです。私が先について、パグ太郎さんも時間前に来られました。同じテーブルの人たちも続々と到着いたします。私は、毎年逢っている方々なので、軽く会釈するだけでしたが、ある常連のご夫婦にパグ太郎さんを紹介した瞬間、パグ太郎さんからは普段聞かないような大きな声がでました。その方も、ビックリして固い握手を交わしたのです。お二人は、同期の入社で、新人研修の時に散々飲み合った中だったのです。その時の記憶が一気に蘇り、私たちのテーブルは、ミニ同窓会になったのです。世間は狭いですね〜!
記録の無い名刺から、落語の話のような展開になりましたが、老人力は毎日増加しています。最近の悲惨な交通事故など起こさない前に、どこかで自分でけじめをつけないときが迫っています。いますこし、今少しと願う気持ちが、手遅れにならないように、気持ちと、機器の整理も行っていかなければなりませんね。
お後がよろしいようで!
by TANNOY-GRF
| 2019-05-21 05:58
| よしなしごと
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