2019年 09月 22日
無指向性SPの音場は 3 |
よく、モノラルの録音を二つのSPで再現すると、音が中央によって音が固まり広がらないと言われます。録音された音にその会場の響きが入っていれば、再現したときにその響きが出現します。再生しているSPがモノラルで、一つだけならば、入っている音がそのまま出てきます。もちろん、そのSPが再生される部屋でどこに置かれているかで、定在波の影響は受けますから、一番楽々と音が鳴る場所を見つけることが重要です。モノラルの再生時に一番楽に音が出るのは、コーナーに斜めに置く配置です。
ちょうど、GRFの様に部屋の隅に置けば、部屋の定在波から一番逃れる場所から音を出すことになります。タンノイのオートグラフやGRFは開発されたときは、モノラルの時代です。そのモノラル再生時に一番楽に音が出る場所を探した結果、このようなコーナーを利用する形状になりました。バックロードホーンを低域に使い、低音のバランスを整えているのは、実に秀逸したアイデアだと思います。
ステレオの再生をするときに一番大事なのは、左右のSPがお互いの音を打ち消さない場所に置くことが大事です。残念ながら、ほとんどの場合は、干渉し合ってお互いの音を打ち消すのです。モノラルの音源で、周波数のバランスが良いところを探すのが大切です。そして、モノラルの音源が左右のSPのちょうど中間にピンポイントで合えば、ステレオになったときに、お互いの干渉が一番小さくなり、微細な残響や時間差を再現して音場が出現します。
あえて言えば、その微調整をしないと、音場が出現しにくい環境で聞いていますから、コンサートホールで聴くような奥深い音が出ないまま聴いていることになります。それは、どのようなSPでも位置調整が合えば、音場が出現します。1mmの違いで、出たり出なかったりするのですから、考えると難しいものですね。
上の写真は、MolaMolaのbluetooth経由のコントロールパネルです。いまは、モノラルになっています。その状態で下のInvertスイッチが一つだけ入ると押した方が逆相になります。その時、左右の位相が反対で打ち消しますから、SPの位置が正しく設置されていると、瞬間でほとんどの音が逆相により打ち消され、今まで鳴っていた音が、1/10ぐらいに小さくなります。それが、少しでもSPの位置がずれていると音が消えません。右と左で違う音がしているからです。
このようなスイッチが付いているプリアンプは、今では少なくなりましたので、普通はモノラルのCDで調整を行います。その場合はCDプレーヤー、DACの左右のクロストークまで影響が分かります。このようなプリアンプで切り替える方が、精度が出ますね。
この新しい部屋で、どこにSPを置けばいいのかを決めるときに、モノラルの女性ヴォーカルのCDを使っています。そのモノラルのヴォーカルの声が、左右のSPの中央にしっかり定位するか、前後も合っているかを厳密に調整していきます。ずれていると音のエネルギーが小さくなり、ぴったりと合っていると、音の打ち消しが一番少ないわけですから、音のエネルギーが満ちてきて、音に潤いが出てきます。その差は、なれてくると0.1ミリ違っても差がはっきり分かるようになってきます。
無指向性のSPの場合は、SPの向きはどの方向でも同じですから、内向き、平行、外向きとも音は変わりません。ただしユニコーンの場合は、低域がバックローロードホーンですから、向きによって全く音が変わります。そこが大変面白く、また難しい点でもあります。
この縦置きの写真は、まだ位置を調整していません。縦置きにしてみただけです。縦置きの場合は、プー博士邸の通り、もっと前に出す必要があるでしょう。その意味では、横置きのまま使っていても、私の家の和室のユニコーンの様に、違う個性が出て面白いと思います。
by TANNOY-GRF
| 2019-09-22 09:52
| H氏の隠れ家
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