2019年 09月 25日
無指向性SPの音場は 5 Hさんからのお便り |
GRF様
先日は、お忙しい中、新しいオーディルームまで来て頂いてありがとうございました。とは言っても、既に、私以上に通ってくださっているので、この部屋の完成は、GRFさんのお陰ですね。改めて御礼申し上げます。
以前は、秋葉原のマンションの地下室でしたので、都会で思いっきり音を出してもいい環境は、あそこしかないと思います。しかし、音響的には、問題だらけの部屋でした。床は、コンクリートの塊と思っていたのに、実は、鉄でてきたタンクが床だったりで、雨の量に従って音が変化する事をくりかえしていました。上は、一階ホールの足音、特に女性のパンプスのコンコンとうるさい音が響き渡って、外は車の音が入ってきて、SNは劣悪な環境でした。以前から、GRFさんに、音響の特別な部屋を作ったらどうですか?とおすすめ頂いていたのですが、やっと、最適な場所が見つかり、そこに部屋を作る決意をすることが出来ました。
何事もそうですが、オーディオも達人のマネをすることが、オーディオを楽しむ最短の道である、と思っています。GRFさんと巡り合ってからは、全てを真似をしてきました。オーディオの先達が苦労されて取得してきたノウハウを学び取らせて頂きました。この部屋を作りにあたって、大山さんに頼んで、GRFさんのオーディオルームのありとあらゆるノウハウを聞き出してもらって、GRFさんのお宅の音を再現をしてもらうようにお願いしました。
GRFさんも快く情報を開示してくれました。その結果、GRFさんにもご満足いただける部屋を作ることになりました。その詳細は、ここでは明かせませんが、現地を訪れた方にだけそっとお教えします。ただし、それにも、限界はありますよ(笑)。
この部屋を作っている最中にも、GRFさんが突然現れて、壁をドンドンと叩いて、こんな壁じゃだめだよ、最も頑丈にしなきゃと言ってくれたそうです。大工さんたちが、あの人誰ですか? 施主さんですか?と怪訝な面持ちだったそうです。設計士のKさんが、大工さんたちを説得して、頑丈につくり直してくれたそうです。これも、GRFさんが来てくれたおかげで、頑丈な壁になったんだなと感謝しております。
最初の音出しのセッティングも、GRFさんが来られてやっていただきました。本当にありがたい話です。はじめてだし、部屋の大きさも違うし、まだ物も入っていないので、苦労されたそうです。
さて、大山さんからGRFさんがセッティングしたから、聞きに来てと言われ、早速向かいました。すると、トロバドール80とウーファーの我々の原点となる装置がセッテイングされていました。まだ、ものが入っていないので、部屋は響きます。しかし、出てくる音は静かで、ひたひたと押し寄せてきます。試聴に使ったCDまでが、置かれてありました。マーラーの7番から始まり、ブルックナーの9番など、何枚かのCDを聞きました。
秋葉原で聞いていた音楽は何だったのか? 月並みな表現ですが、コンサートホールがそこにあります。秋葉原でも、ある程度その感じはありましたが、ここては、全く次元の違う音楽が聞こえます。第1バイオリンは左下かコンサートホールの上空に立ち上り、管楽器は、奥だけど、目の高さにあり、コントラバスは右奥から、はっきりと聞こえてきます。
GRFさんの音を実際に聞かれた方ならお分りになると思いますが、とうとう、私のリスニングルームでもその三次元の音楽の再生が可能になりました。少し遠いので、週末にしか行けないなどのハンディはあります。これから、徐々にサブウーファーを追加したり、トロバドールの追加したり、ホール再生の進化の楽しみが待っています。これから、部屋もなじませ、音も徐々に熟成させて、来年には、皆さんにお披露目の会が出来ればいいなと思っております。
GRFさん、これからも、ご指導ご協力よろしくお願い致します。
H
すべては模倣から始まると言います。最良の結果を最短で得るためには、徹底して模倣をするしかありません。その模倣の過程から新しい創造が生まれるのです。完璧に模倣が出来てこそ、ようやく出発点に立てるのです。Hさんが、お仕事でも成功されているのは、先人の成し遂げたことを、尊敬し、それを完璧に模倣して、自らの血となり肉となる手法を身につけて来たからだと思います。人の技術の良いところ取りをしても、土台も過程も違うのだから、普通は同じ結論には達し得ないのです。環境まで含めて、可能なだけオリジナルを復元する作業の中にこそ、新たな創造の出発点があるのです。芸術を学ぶ学生も、古美術の補修を通じて、オリジナルの細部にわたる技術の習得が行われ、それによって培われた技術が、新しい扉を開ける唯一の方法だと、解っておられるからでしょう。先人と同じ情熱と時間を掛けた人だけが、次の世界の扉を開けれるのです。
そんな当たり前の事さえもせずに、安易なコピーをして、一部だけ変わったのを進化だと勘違いする人達のいかに多いことか、チコちゃんではないですが、驚かせられます。
お茶は道具だけを、いくら高額で買っても成り立ちません。茶室を作らなければならないし、その茶室の構造や置かれている環境作りから入らなくては、茶室は成り立ちません。何よりもその精神を学ばなければ、小手先だけの模倣では、何事も到達できないのです。私は、Hさんのその姿勢に感動して、今まで積み上げてきたノウハウを使い、同じ音の再現を目指したのです。そこには、その過程から得られる、新たなフィードバックが、私自身の装置のステップアップにも役立つからです。
同じ山の麓には来ることが出来ました。これから、一歩づつ山に分け入ったとき、同じ景色を見れるか、または家よりも高いレベルの景色が見られるか、その楽しみの為に、一緒に登り始めたとも言えましょう。Hさんの挑戦は、私自身の確認の旅でもあるし、より高い景色が見られるという期待感でご協力しています。感謝を言うのは、こちらの方です。
東京にお住まいでない、毎日コンサートがない環境にいる、日本中の、世界中の音楽ファンに、コンサートホールの空間にワープする、この装置の素晴らしさを、いろいろな人に体験して貰いたいと思い協力しています。今は、3000メートル級の日本アルプスの風景ですが、4000メートル級のヨーロッパアルプスや、ヒマラヤの6000メートルから、その上の景色を再現したいと思っています。
Hさんが、今回の音を聴かれて、独り言のように、これで目の前にコンサートホールの景色が展開していたら、完璧だと!言われました。まったく同感です。これからどこまで高みに登れるか、本当にわくわくしますね。この部屋が、公開できるのは、年を越すかもしれません。全国から、音楽ファンが来られてこの素晴らしい空間を共有されることを願っています。
by TANNOY-GRF
| 2019-09-25 10:18
| H氏の隠れ家
|
Comments(6)

GRFさん
一連の無指向性SPの記事、初めは興味深く拝読していたのですが、最後は、ここまでやらないとチコちゃんに叱られるのかと頭を抱えてしまいました。山は登り始めて見ないと、そこから先の高さが実感することすら出来ないということもまた事実ですね。当方、峠の茶屋あたりで、遠くの稜線に感心しつつ一服という感じです。これはこれでノンビリと楽しいのですが、イヤハヤ、、、、。^_^
一連の無指向性SPの記事、初めは興味深く拝読していたのですが、最後は、ここまでやらないとチコちゃんに叱られるのかと頭を抱えてしまいました。山は登り始めて見ないと、そこから先の高さが実感することすら出来ないということもまた事実ですね。当方、峠の茶屋あたりで、遠くの稜線に感心しつつ一服という感じです。これはこれでノンビリと楽しいのですが、イヤハヤ、、、、。^_^
パグ太郎さん すべての人に、アルプスを登れと行っているわけではないのですよ。登りたい人だけ、登る衝動に駆られた人だけです。
一旦登り始めたら、その高度感覚は、自分が思うほどに高みに登れるのも、高い山の特徴ですね。だからといって、小春日和の日に、近場の山を徘徊するのも、それはそれで、面白いと思います。vafanさんの低山巡りですね。もっとも彼は、今年の夏は、槍を登られたそうです。うらやましいです!
一旦登り始めたら、その高度感覚は、自分が思うほどに高みに登れるのも、高い山の特徴ですね。だからといって、小春日和の日に、近場の山を徘徊するのも、それはそれで、面白いと思います。vafanさんの低山巡りですね。もっとも彼は、今年の夏は、槍を登られたそうです。うらやましいです!

Hさんの新しい音楽ホールの一連の日記を拝読していて、そこで鳴っているコンサートホールの音楽を想像しています。
頑丈な壁構造の上に漆喰や天然石を積み上げた壁面の意匠はとても素敵ですね。
先日、京都人さんのHRS-130を聞かせてもらいましたが、DDDユニットにプラスしたSW付きならではの低音域の伸びた響きが好印象でした。
横に逸れますがパグ太郎さん宅のリビングに置かれたHRS-130もさぞ素晴らしい音楽をのでしよう。
頑丈な壁構造の上に漆喰や天然石を積み上げた壁面の意匠はとても素敵ですね。
先日、京都人さんのHRS-130を聞かせてもらいましたが、DDDユニットにプラスしたSW付きならではの低音域の伸びた響きが好印象でした。
横に逸れますがパグ太郎さん宅のリビングに置かれたHRS-130もさぞ素晴らしい音楽をのでしよう。

椀方さん
やはり50畳という空間は大きく、コントラバスや大太鼓のひびきが屈託無くなり、本当の音楽空間にいる感覚です。SD05で鳴らすと、二時ぐらいのボリュームの位置です。
MolaMolaの場合は、家は12時ぐらいですが、Hさん邸では1時ぐらいでその差が空間の大きさと、聴く位置の微妙な差でしょう。
家のユニコーンは低音は十分に出ています。しかし、アンプで変わりますね。パグ太郎邸のサウンドは、テレビの位置などを動かして、試行錯誤中ですが、近くMolaMolaを持ち込み聴いてみようと思っています。
やはり50畳という空間は大きく、コントラバスや大太鼓のひびきが屈託無くなり、本当の音楽空間にいる感覚です。SD05で鳴らすと、二時ぐらいのボリュームの位置です。
MolaMolaの場合は、家は12時ぐらいですが、Hさん邸では1時ぐらいでその差が空間の大きさと、聴く位置の微妙な差でしょう。
家のユニコーンは低音は十分に出ています。しかし、アンプで変わりますね。パグ太郎邸のサウンドは、テレビの位置などを動かして、試行錯誤中ですが、近くMolaMolaを持ち込み聴いてみようと思っています。

拙宅のユニコーンは室内楽を聴いていればPAC小ホールと同じように鳴りますからSD05で充分なくらいです。
今度、宗次ホールに行く前に聴いてやってください。
今度、宗次ホールに行く前に聴いてやってください。
椀方さん しばらくお伺いしていませんので、どのような音になったか、お聞かせいただくのが楽しみです。