2019年 12月 26日
ハイティンクの引退 |
この秋は、ヤンソンスの逝去だけではなく、長い間ヨーロッパのオーケストラを牽引してきたハイティンクが引退しました。ご本人はバトンをおくという表現ではなく、長期休暇に入ったと言っています。ハイティンクもヤンソンスも私の好きな指揮者なので、とても残念ですが、ヤンソンスは76歳でしたがハイティンクは90歳まで世界中のオーケストラを第一線の指揮者として引っ張ってきての引退ですから、やりきった感もあります。
レコードを通じて長い間ハイティンクの演奏に接してきましたが、実演は、ミューザでロンドン交響楽団でブルックナーの七番を、サントリーホールでシカゴ交響楽団とのマーラーの第六番を聴いています。どちらも凄い演奏でした。また、ルツェルンでは、イザベル・ファウストとのヨーロッパ室内管弦楽団の演奏を聴きました。
ここしばらくは、コンセルトヘボウの経営陣との折り合いが悪く、余りコンセルトヘボウとは演奏していませんでした。最後の共演は、今年の一月に行われた、ガッティの代演でのモーツァルト40番とブラームスの第四番でした。その分、ロンドン交響楽団とヨーロッパ室内管弦楽団の客演を振り、ベルリンフィルやウィーンフィルにも招かれ大活躍されていました。90歳を迎えた今年、65年間にも及ぶ長い演奏生活に終止符が打たれたのです。コンセルトヘボウの会場での最後の演奏会も、コンセルトヘボウオーケストラではなく、彼が学び、デビューしたオランダ放送管弦楽団でした。
最後の曲はブルックナーの第七番で、ゆかりのあった、オランダ放送響、ロンドン交響楽団、ベルリンフィルそして、ウィーンフィルと4回演奏してきたのです。教わったヨッフムも白鳥の歌は、ブルックナーの第七番でした。地味深く、交響曲の極地でしょう。
最後の演奏会は、9月6日のルツェルンでのウィーンフィルとの演奏会でした。前の週は、ザルツブルグでも、ロンドンのプロムスでも演奏されていました。こうやって指揮者は、同じ曲を繰り返し繰り返し弾いていくのです。最近のヨーロッパの楽団の定期演奏会は、三夜続けて行われることが多く、三日緊張して演奏を続けていくのがプロの演奏家なのでしょう。
65年ものキャリアがある彼の演奏会の経験でも、ブルックナーの第七番は、演奏回数の多さでは、上位に来るのではないでしょうか?
コンセルトヘボウのアーカイブをしらべました。コンセルトヘボウとの演奏会は、2419回にものぼります。そのうち、ブルックナーの7番は、29回演奏しています。2010年以降では、マーラーの9番と共に回数が多いですね。ちなみに、作曲家別だとやはりベートーヴェンが1番で379回、次がモーツァルトで362回で、以下、マーラーが296回、ブラームスが231回、そしてブルックナーは211回でした。この五人で約六割の演奏会を行っています。
今朝の真っ白な富士山です。今晩も雪でしょうから、次に見るときが楽しみです。
by TANNOY-GRF
| 2019-12-26 09:22
| 好きなレコード
|
Comments(4)
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GRF
at 2019-12-27 11:32
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ハイティンクは、コンセルトヘボウの経営陣と衝突していました。コンセルトヘボウ125周年記念の演奏会に、27年間も首席指揮者を務めて、現役のハイティンクを呼ばないことが原因でした。これは問題でした。
寅さんのメロン騒ぎにも似ているエピソードですが、オランダ的でもあり、どこの国も政治家がらみの典型的な例かもしれません。
寅さんのメロン騒ぎにも似ているエピソードですが、オランダ的でもあり、どこの国も政治家がらみの典型的な例かもしれません。
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GRF
at 2019-12-27 12:11
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ヤンソンスばかりではなく、シュライアーも亡くなられたと、今日報道されました。なんだか、さびしい年の暮れになりました。i さんが最後まで追いかけをしていたのを思い出します。今晩、リヒテルとの冬の旅を聞いて偲びます。
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パグ太郎
at 2019-12-27 22:45
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ハイティンクも先日、聴かせていただき、ヤンソンスとは違った意味でコンセルトヘボウの魅力を引き出していましたね。でも、こんなに独墺系の比重が高いとは。ビゼーの交響曲とか言っているのはやはり、嗜好が偏っている証拠ですね。
シュライヤーが亡くなったのを、貴コメントで知りました。バッハの教会カンタータの素晴らしさを気づかせてくれたのは、リヒターの録音でしたが、そこでのシュライヤーの良かったこと。そして、魔笛のパミーノ・・・。名曲に初めて触れた時の「刷り込み」をしてくれた演奏家が、今年も何人も逝ってしまいました。プレヴィン、デームス、ボールドウィン、ノーマン、ゼッフィレッリ、、、新しい世界を拓いてくれた皆さんに感謝です。
シュライヤーが亡くなったのを、貴コメントで知りました。バッハの教会カンタータの素晴らしさを気づかせてくれたのは、リヒターの録音でしたが、そこでのシュライヤーの良かったこと。そして、魔笛のパミーノ・・・。名曲に初めて触れた時の「刷り込み」をしてくれた演奏家が、今年も何人も逝ってしまいました。プレヴィン、デームス、ボールドウィン、ノーマン、ゼッフィレッリ、、、新しい世界を拓いてくれた皆さんに感謝です。
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パグ太郎
at 2019-12-28 03:58
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ペーター シュライヤー、大切な演奏を忘れていました。マタイ受難曲のエヴァンゲリストです。79年のこの録音がこの作品との本当の出会いでした。