2020年 01月 13日
Orisukeさんの年末感想記 |
「年始が駄目なら、年末に来ませんか?」とGRFさんからお誘いを頂き、新潟のお酒を携えて年の瀬にお邪魔しました。
この一年、コンサートにご一緒させていただいたり、パグ太郎さん邸に連れて行っていただいたりで、お二人とは3ヶ月に一度くらいのペースでお会いしていたのですが、GRF邸の音を聴かせていただくのは随分久しぶりでした。
当日、家の保守工事で職人さんが入るので、その終わりを待って合流されるパグ太郎さんを待ちながら、GRFさんは「この部屋のシステムしばらく鳴らしていなかったけれど、お二人が来るのでウォーミングアップしておきました」と、まずはユニコーンから聴かせてくださいました。相変わらず解像度が高いのに柔らかく、音痩せがない、流石です。でも、前回はこの部屋で猛威を振るっていたPCオーディオはバージョンアップを控えてしばしお休み中でした。
11月末のGermanの会の頃から、和室はしばらく鳴らしていなかったので、アンプのプリアウト端子とケーブルの接触が悪いとのことで、GRFさんは何度か調整されていましたが、私は前から気になっていたこの特製プリアンプの中身を、天板が外されているのをいいことにまじまじと観察しておりました。コンデンサー、抵抗と内部配線の取り回しを見ていると、どれほどの拘りを持ってこのアンプが製作されたのか制作者の執念が伝わってきました。CD34改も同じレベルの部品を使っているそうで、「良質の音にするには結局、ここなんだよなぁ」と嘆息。
「ヤンソンスもハイティンクも居なくなって、コンセルトヘボウも寂しくなりますね」とか「3月のアルゲリッチは大丈夫だろうか?」とか、予約していただいた3月のサントリーホールのチケットを有り難く受け取りつつ、時事ネタ(?)に花が咲いたところでパグ太郎さんがご到着。大部屋に移動しました。
DDDユニットを使ったメインシステムの後方で、DDDユニットをもう2本、メインのスピーカーと同相で鳴らす実験を始められてから初めて聴かせていただきましたが、サウンドステージの奥行きが、前方の2本の時よりも劇的に広がっていました。違和感はありません。私は最初「これ、マトリックスで差信号出しているわけではないんですか?」と尋ねましたが、GRFさんはマトリックスの信号を同じ部屋で鳴らすのは、違和感があるとのことで、特にデジタルディレイをかけるでもなく、同相で綿密なレベル調整と後方のDDDユニットの位置セッティングでこの音が出ているとのこと。実は、我が家でも自作機を組み合わせて似たようなことをやってはみたのですが、フロントとリアのユニットの音色が違っているので繋がらず、敗退していたのでした。色々ヒントを頂いたような気がします。
さて、宵時になって、日本酒を頂きながらGRFさんの秘蔵のディスクが続々と繰り出されて、「もうどうにも止まらない」状態に。以下、気になったCDについて・・・
A Tribute to John Pfeiffer
これ、Living Stereoを俯瞰できるとても良い盤ですね。驚いたのは、RCAのオリジナルCDとその後のサウンドミラー社リマスターCD、およびSACDで音色・音場感が唖然とするくらい違ってしまっていることです。マーキュリーの Living Presenceシリーズは、24/96リマスターとCD落とし込みの大部分をウィルマ・コザートが存命中にやってくれたお陰でアナログ原盤から首尾一貫した音のイメージを維持できていると思いますが、RCA Living Stereoは「いったい何なんだこれは!」と絶句するくらいに違います。これはRCAのオリジナルCDが圧倒的すぎて、私の手持ちの180枚(いままで色々苦労して一応聴けるようにはなっていましたが)が瞬時に脳内でゴミになったような衝撃を味わいました。
しかも、GRFさんはニコニコしながらRCAオリジナルCDがぎっしり詰まった宝箱を出してこられて、私の前に置かれるではありませんか。その中には、大好きなミュンシュやライナーの名録音の数々が・・・こ、これは責め苦じゃ(悶絶!)。いま、中古でオリジナルCDを少しずつ集めているところですが、少ないですねぇ。アナログは一万円超えですし・・・(涙)。
ANGELSKYTS アンネ・リーゼ・ベルステン
オーディオファイル狙い撃ちの素晴らしい録音だと思いました。中古盤を即注文しました。
Forgotten Melodies レシチェンコ
コパチンのパートナーとして影に隠れた感じでしたが、エキセントリックな魅力と構築力の不思議な共存、ある意味コパチン以上かも。パグ太郎さんが推すのが良く分かりました。もっと録音して欲しい。リストの盤とあわせて発注しました。
Warm Your Heart アーロン・ネヴィル
自然で柔らかな音がトロバドールによく合っていました。我が家でどう鳴るのか、中古盤を注文。
時間と瞬間について サヴァール & フィゲーラス

サヴァールはいくつか買っていますが、意外にオーディオ的当たり盤が少なく、悩ましいアーティストと感じています。この盤は初めて聴きましたが、今は亡きフィゲーラスと娘アリアンナの声の絡みが素晴らしい。最高の家族ポートレートですね。涙が出そうになりました。SACD盤を注文。届いたものを見てみたら、録音はバルトロメですね。流石です。
EN MIROIR マリー・アンジェ・グッチ

これもパグ太郎さん劇推しの一枚。な、なんだ、このシャコンヌは・・・・。とても20歳そこそこの小娘の奏でる音楽のスケールではありません。これは早咲きの天才だなぁ。参りました。スタインウェイのモデルDと書いてはあるが、低音のド迫力はベーゼンみたい。ミラーレの音(そもそも、このレーベルにそういう一貫性があるのかどうか疑問ですが)良くなってます。即購入しました。
と、言うわけで、酔っ払って帰宅したあげく、真夜中に嫁さんに隠れてこそこそとワンクリック攻撃を敢行し、大散財した年末年始でした。いま、単身赴任先に続々とディスクが届き恐ろしいことになっています。GRFさん、パグ太郎さん、楽しい忘年会本当にありがとうございました。新年も宜しくお願い致します!お酒はいくらでもお持ちしますよ!
Orisuke
Orisukeさん 美味しいお酒をありがとうございました。パグ太郎さんも加わり、夜遅くまで、楽しい晩になりましたね。三ヶ月に一度などと言わないで、またお酒と一緒にどんどん遊びに来てください!(爆)。
by TANNOY-GRF
| 2020-01-13 11:26
| 来たり
|
Comments(2)

Orisukeさん
Living stereoのLivingは Living Roomの「生活」では無く、活き活きしているという意味のLivingです。生々しい「生きている」という意味もありますね。シンプルなマイクロフォンで、オーケストラの直接音と間接音の一番バランスが良い位置に置くのです。実際にワンポイント方式で録音するとSPの位置調整より、より細かいバランスの調整を必要とします。人の耳の鼓膜の間隔は10センチも有りません。その距離の音の大きさと、時差で距離や方向を感じ取っている、想像を絶する高度な器官ですね。
Living stereoのLivingは Living Roomの「生活」では無く、活き活きしているという意味のLivingです。生々しい「生きている」という意味もありますね。シンプルなマイクロフォンで、オーケストラの直接音と間接音の一番バランスが良い位置に置くのです。実際にワンポイント方式で録音するとSPの位置調整より、より細かいバランスの調整を必要とします。人の耳の鼓膜の間隔は10センチも有りません。その距離の音の大きさと、時差で距離や方向を感じ取っている、想像を絶する高度な器官ですね。

GRFさん
先日はありがとうございました。
年末に聴かせていただいたソフトが続々到着し、休みの日に楽しく聴いています。Living Stereoのリマスター前のCD、ライナーのシェラザートとウィンナワルツを中古で手に入れ、ボックス版と比べています。やはり、別物。音が分厚いです。直接音・間接音比率、マスタリングで間接音が削がれている感じがします。デバイスがこれだけ進歩しても録音エンジニアやマスタリングエンジニアのセンスが問われるのは、今も昔も変わらないようですね。
先日はありがとうございました。
年末に聴かせていただいたソフトが続々到着し、休みの日に楽しく聴いています。Living Stereoのリマスター前のCD、ライナーのシェラザートとウィンナワルツを中古で手に入れ、ボックス版と比べています。やはり、別物。音が分厚いです。直接音・間接音比率、マスタリングで間接音が削がれている感じがします。デバイスがこれだけ進歩しても録音エンジニアやマスタリングエンジニアのセンスが問われるのは、今も昔も変わらないようですね。