2020年 02月 06日
ユニコーン ユニット交換の頃 |
今回のGerman Physiks News Letter 向けのUNICORNの写真を集めている時に、なぜ、初期のユニコーンを再生産してもらったか、その輸入時のいろいろなエピソードを思い出しました。


エッジの部分の形状が全く違いますね。それによりしっかりとしたバックロードが掛かるようになりました。また、カーボンの開発を通じて、マグネットの強化も図られ、その効果も大きいと思いました。この初期型の頃に比べて、四回ものユニットの改良が行われたそうです。その生まれ変わった音は従来までの高域重視の音では無く、低域まで豊かな音を聞かせてくれます。50Hzぐらいまでしかな理論上もならないのですが、倍音成分が位相差無くなるので、遙か下まで鳴っているような充実した低音が鳴るのです。キャビネットの中にウーファーが隠れているとのではとスカートの下からのぞき込もうとした人も何人かいたぐらいです(爆)。
そう、ユニコーンは、一本のスピーカーだけがなっているシングルスピーカーなのです。低音はバックロードを通って聞こえてきますから、若干の遅れはあるのですが、200Hz以上は、上のDDDドライバーだけでなります。そのため、位相特性が良く、音はチタンドライバーから聞こえずに、キャビネット中央あたりからなるのです。それも、中にウーファーが隠れていると思われた理由ですね。不思議です。

はじめてユニコーンに邂逅したのが2007年の初夏。UNICORNさんのお宅でした。初期型のユニコーンは、2004年に製造をやめましたが、UNICORNさんは、ギリギリに特注で作っていただいたそうです。その時のモデルは、カーボン使用のキャビネット同様な、初期モデルの肩が落ちている形や、スカートの部分の形状がすっきりとされて、作りにくい特殊形状から、音を変えずに作りやすい形にと進化していたそうです。外見はすっきりとしましたが、内部は同じ構造です。
UNICORNさんのお宅ですっかり魅了された私は、真剣に探し始めたのです。一年後、名古屋のサウンドピットさんが以前売られたユニコーンが引き取られてきたのです。2008年の5月の末に家に来たときにはすでに10年以上経っていて、二回ほど持ち主が変わっていました。小さなお子さんのいるご家庭で使われたこともあり、ただでさえ薄くてもろいチタンのユニットは、触られて凹みがありました。ですから、ある程度使用したらユニットを新品に交換をするという前提で、とても安くしていただいたのです。大山さんに相談したら、使われているバールの模様の木は、条約で在庫で持っている会社しかつかえなくなるので、ぜひ、手に入れろとの話でした。しかし、そのへこみ自身は、余り音に関係なく、その切れ味と分解能が高いスピーカーはお気に入りでした。
この木目の話には後日談があります。北海道のある地方都市で全国の木材組合の集まりがあるのに遭遇しました。席が一杯なので、その組合の会長と同席することになりました。盛り上がったあとお互いの仕事の話をしたところ、銘木の木目を扱っている組合だと言うことがわかりました。そこで、私のUNICORNの写真を見せたら、これはすごい!もう日本では手に入らないから大事にしてくださいといわれました。その後同じ木目を見たのは、マカオの高級カジノの廊下でした。いかにも豪華な造りで、嬉しかったです。
2008年に家に持ち込まれたとき、大きな部屋でならしていたときは、低音は十分で浪々としたホールトーンも聞こえていました。それが、徐々に低音が聞こえなくなり、2012年の寒い二月にUNICORNさんに来ていただいた時は、何か変だと気がつきました。
メガホン形状のチタンの振動板を支えるエッジは、その頃になると材質の硬化が始まり、当初から円錐形のコーンにフィットするように切れ込みが入っていたエッジにひび割れが始まり、バックロードホーンのロード(負荷)が掛かると、その音圧に負けて空気が漏れロードが掛からなくなってきたのです。問題は、代理店も無いドイツの会社にどのように連絡を取るかの問題でした。
悩んでいたところ、初期のユニコーンのオーナーで、友の会の会長をお願いしているAさんの主催する、ホワイトアスパラガスの会でこのユニコーンを輸入した商社の人と会い、直接連絡する方法を教えていただきました。それから、一月後、新品のユニットが交換用に送られてきました。14年間の進歩は大きく、そのエッジの形状ばかりでは無く、マグネットも強化され、新しい音へと進化していました。

by TANNOY-GRF
| 2020-02-06 21:03
| 和室のユニコーン
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Comments(2)

こうして記憶を辿るような日記を拝読していて、初めてGRFさんの御宅に伺って、和室のユニコーンを聴かせていただいた時の驚きと感動を思い出しています。
唯一無二の構造を持つDDDユニットと、二つとない木理が美しいキャビネットとの組み合わせは、初期型のユニコーンから20年以上の歳月が流れているのに、ひとつも古さを感じさせませんね。
いや、それどころか今でも時代の先端を行く突き抜けたテクノロジーを具現化したものの持つ「美」を感じさせます。
唯一無二の構造を持つDDDユニットと、二つとない木理が美しいキャビネットとの組み合わせは、初期型のユニコーンから20年以上の歳月が流れているのに、ひとつも古さを感じさせませんね。
いや、それどころか今でも時代の先端を行く突き抜けたテクノロジーを具現化したものの持つ「美」を感じさせます。

椀方さん 私もはじめて来られたときのことはよく覚えています。その感動の延長上に、UNICORNの再生産のリクエストや、Troubadourのシステムへの出発点があったからです。本ブログとともに、仲間と一緒に歩んでこられたから、今回のNews Letterの様な発展が有るのだと、つくづく思いました。
椀方さんのところに箱入り娘のまま、お輿入れできた話は、とても偶然ではありません。
椀方さんのところに箱入り娘のまま、お輿入れできた話は、とても偶然ではありません。