2020年 11月 08日
H氏邸の水平線の向こう側は |
前回、H氏邸で新たな水平線を見た私は、Hさんご自身が是枝さんの三つのパワーアンプを使いこなして三次元のステージを再現している音を三週間ぶりに聴きに行きました。インターからの道を走ると、空は高く、近くの桜の木も葉を落とし、季節がどんどんと過ぎて行く様子が感じられます。11月の空気は乾燥して音もどんどんと良くなっていくからです。今日は朝九時には家をでたので、10時を回った頃には付いたのですが、大山さんはもう着かれていました。
どのように使いこなしているのか、早速拝見しました。前回は新しいアンプを足したので、配線も混雑していましたが、今回は、きれいに整頓されていました。前のTroubadour80とPSD/TW3は以前からの6336Bアンプで鳴らされていました。
回路も、部品も私が使っている6336Bのプッシュプルアンプなのですが、違いは、ステンレスシャーシーではなく、ハンマートンで塗装されたシャーシーです。ところがこのアンプの音が良いのです。特に柔らかな高域が魅力的です。私のアンプも一組このシャーシーで作り直していただきたいと思っています。出力トランスではなく、電源トランスが赤く塗られています。グレーと黄色と赤の三色の同じアンプを使っていますが、塗ってある色で音が微妙に変わります。色も周波数ですから、当然共鳴する周波数が変わると音は違いますね。
そして後方の46センチアイソバリック型のウーファーをならすのが、KT-150 p.p.アンプです。圧倒的な駆動力で、46センチの大口径ウーファーをならしています。ほとんどウーファーは動きませんが、無くすと音は変わります。そして後方のTroubadour80をならしているのが、この19インチラックに入った電源にも6336Bを使った同じ6336Bのp.p.アンプです。
後方のセットはマルチアンプで鳴っているのです。全部で三つのパワーアンプですから、さすがにうなってしまいます。そして、それを駆動するのが、パワーアンプ用の出力端子を5セットも装備している、是枝さんのプリアンプLLAAの特別仕様です。全体を是枝さんのアンプでまとめたHさんならではの豪華な組み合わせですね。
このプリアンプが入って、Hさんの音がまとまりを見せ、いよいよコンサートホールの大空間が現れたのです。先日、若い音楽家が来られて、いろいろな装置を聴かれたそうですが、最後に聞いたこの装置では、一体どこにSPがあるのですかと聞いてきたそうです。コンサートホールの大空間がなっているのに、スピーカーらしき黒い塔が4本でているのだけれど、そのどこからも音が出ていない、ただコンサートホールでの音楽が出現しているととても不思議がったそうです。そのお話を語ってくれたHさんのお顔が輝いていました。
今日は、全体のバランスが合っているかを聞いてほしいという要請でした。でも、みごとな空間、奥行き、音が上に登っていきます。オーケストラも、ドイツリートも、ヴァイオリンソナタでの、ヴァイオリンとピアノのバランス。カンターテドミノの教会の奥行きのある大空間、そこに響いているオルガンと、コーラスの奥行きの差、そして、お好きなポール・デスモントの品のあるアルトサックス、そしてドラムやピアノの実態感、何よりも聴衆の話し声や食器の音、さっきまでコンサートホールの大空間だったところが、ナイトクラブになっているその驚き。
リヒテル・シュライアーの冬の旅の音は、会場の温度感まで感じられます。如何にリヒテルのピアノが素晴らしいか、ドレスデンのシュターツオーパーのホールに音が消えていく様は、とてもオーディオ装置が奏でている音ではないと感じました。
最近、映画ばかり追求している私に、衝撃を与えてくれる音になっていました。Hさんは、SPの位置調整もアンプの置き方も、バランスの取り方も完璧でした。これはうかうかしていられないと、冷や汗が流れたほどです。前回、Hさん邸での調整が念入りに行われたプリアンプの精緻な音に驚き、岡山の是枝さんのところまで運んだプリアンプと、先日映画の調整中にプリの電源が抜けて、具合をわるくしたアンプが、戻ってきたら私も後方のSPをTroubadour40から80に換えて、低域用の先日来実験している一回り大きなTW5をいよいよ添えないと、Hさんに大きく水を開けられてしまいます。家と同じ部屋で、同じ装置を使い、同じように調整されているので、こちらが少し気を抜くとすぐに追い越されてしまいます。
家と同じ音が、同じように作られているとは言え、よその家で家よりもいい音にならされては、師匠の立場がなくなります。同じ音が再現されなくては普遍的にはならないとは言え、本家よりいい音を出されてしまったら、のんびりしていられませんね。
お昼に何時もの名物のうどんをごちそうになって、急ぎ戻ってきました。帰りの車の中も音をどうするかであたまの中がいっぱいになってきました。でも、こういう瞬間が好きだからオーディオはやめられないのです。12月のGermanの会で、Hさん宅ツアーを呼びかけます。お聴きになりたい方はお声をおかけください。驚くと思いますよ。
by TANNOY-GRF
| 2020-11-08 21:55
| H氏の隠れ家
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