2021年 02月 03日
デジタルコンサートホールの音の進化 |
ベルリンフィルのデジタルコンサートホール(DCH)のサービスがはじまって、もう10年以上になります。ベルリンフィルのコンサートを世界中に配信しているサービスで、技術の進歩とともに、画質、音質ともめざましい進歩を遂げて、居ながらにしてベルリンフィルハーモニーのコンサートホールに行くことが出来ます。常任指揮者が半分、ゲストコンダクターが半分の内容ですが、招かれるゲストコンダクターも超一流の人だけですから、その曲目の選定とともにコンサートのプログラムとしても楽しめます。
毎日曜の夜八時から、ライブと称して新しいコンテンツが配信されます。本当の意味でのライブは、当日の朝、4時にライブ配信されています。土曜日の夜八時です。ヨーロッパのコンサートは夜八時から始まります。大人の時間ですね。日本では、コンサート会場が公営がおおく、夜10時の閉館を迫られますから、7時開演が多いですが、夜をたっぷり楽しむにはやはり八時開演が良いのですが、、終電車も速くなってますます難しいでしょうね。
その再放送が、日本時間の日曜の夜八時に行われます。八時になると低い教会の鐘がゴ〜ンとなります。インターネットを繋ぐとそこはベルリンフィルハーモニーの会場です。画像もいまや4K・HDRですし、東京春祭を主宰されている鈴木さんの(株) IIJが、インターネットの技術的なバックアップをしています。現在はソニーに代わって、パナソニックが技術・機材の提供を行っています。ストリーミングによる映像・音声の配信ですが、10年間の技術の革新は素晴らしく、映像も音声も満足いく水準だと思います。
椀方さんの案内で、TW5でライブ配信を聞いてみました。先日の指揮者は、コンセルトヘボウをセクハラ問題で辞任したガッティです。スキャンダルで辞任した後も、イタリアやドイツで活躍していて、ベルリンフィルとも二回のコンサートを行っています。今後も、マーラー室内管弦楽団や、ミュンヘンフィルなどの予定もアナウンスされています。一時のギラギラした感じはなくなりましたが、音楽とは真摯に向かい合っている演奏でした。今まで聞いたことのないような個性的な演奏で、同じ曲をベルリンフィルで演奏した佐渡裕とは、随分と違う演奏を披露したと思います。
第一楽章の真摯な祈り、第二楽章のベルリンフィルの圧倒的な迫力、第三楽章の死の影が現れるところは、マーラー的な響きも出ていました。それはベルリンフィルの演奏スタイルにあるのかもしれませんが、今まで聞いたことのない演奏スタイルに思えました。終楽章の圧倒的な迫力といい、随所にマーラーの影を見た気がします。特筆すべきは、やはりベルリンフィルの低弦の迫力です。デジタルコンサートホールでは聞いたことない音でした。木管の低域も、大太鼓の響き、チューバの力強さをはっきりと聞こえ、オーケストラの立体感も増して本当に音を楽しめました。
今日、最近のアーカイブを見てみると無料放送の中に「マーラーの世界」と称した特集がありました。デュダメルから始まり、ネルソンス、1989年の初めてのリハーサルでのアバド、首席ホルン奏者による第七番の二楽章の素晴らしいホルン、ゲルハールの「さすらう若人の歌」、ガランチャの第三番の5楽章、そして最後はペトレンコの第六番の最終楽章です。この演奏会は、昨年五月のアムステルダムでの演奏会のチケットを取っていたのですが、キャンセルになりました。とても残念です。でも、ペトレンコは余りマーラーには向かない気もしますね。今週のプレトニョフトのプロコフィエフはどうだったのでしょう。
このマーラーの特集は、収録された日が1989年から去年まで録音の違いが聴けるとても良い例です。無料ですから、ぜひご覧になってください。
by TANNOY-GRF
| 2021-02-03 22:26
| 演奏会場にて
|
Comments(2)
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椀方
at 2021-02-04 12:01
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デジタルコンサートホールの年間有料会員になったのはもう8年前になります。
当時はドイツ銀行がメインスポンサーでSONYが機材や配信のサポート体制でしたが、スポンサーの経営刷新やSONYの事業再構築などで機材はPanasonicに変わり配信サポートはIIJに変わって現在に至ります。
その間の音質の向上はもとより画質の方もHDレベルになり、カメラ数も数台から倍増して様々なアングルからステージを捉えるように進化していますから、普段地デジでN響の中継録画を視聴されている方ならデジタルコンサートホールの配信には満足されるのではないでしょうか?
IIJはここでライブ中継の音声だけをDSDストリーミングで配信を実用化していますし、更にその経験を経営に活かして劇場やホールからのライブストリーミング配信設備構築と運用までを事業化していますね。
東京春祭の運営は当初経営者の道楽だと揶揄する向きもありましたが、ここまで定着すると企業メセナの成功事例として取り上げられるまでになっていますが、それらの活動さえも事業活動に活かす経営姿勢にも好感が持てます。
ということで、小生も格安スマホデビューした時は、ポッと出の格安だけのには見向きもせず迷わずIIJを選びました(笑)
当時はドイツ銀行がメインスポンサーでSONYが機材や配信のサポート体制でしたが、スポンサーの経営刷新やSONYの事業再構築などで機材はPanasonicに変わり配信サポートはIIJに変わって現在に至ります。
その間の音質の向上はもとより画質の方もHDレベルになり、カメラ数も数台から倍増して様々なアングルからステージを捉えるように進化していますから、普段地デジでN響の中継録画を視聴されている方ならデジタルコンサートホールの配信には満足されるのではないでしょうか?
IIJはここでライブ中継の音声だけをDSDストリーミングで配信を実用化していますし、更にその経験を経営に活かして劇場やホールからのライブストリーミング配信設備構築と運用までを事業化していますね。
東京春祭の運営は当初経営者の道楽だと揶揄する向きもありましたが、ここまで定着すると企業メセナの成功事例として取り上げられるまでになっていますが、それらの活動さえも事業活動に活かす経営姿勢にも好感が持てます。
ということで、小生も格安スマホデビューした時は、ポッと出の格安だけのには見向きもせず迷わずIIJを選びました(笑)
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TANNOY-GRF at 2021-02-04 14:21
椀方さん
ミューザ川崎よりは少し小さいですけれど、ベルリンフィルハーモニーは同じような形をしているサントリーホールと比べると25%ぐらい大きいのです。ステージの後方が広いですね。その分、ベルリンフィルのすさまじい音にも音が飽和せず、聞きやすいですね。
ミューザ川崎よりは少し小さいですけれど、ベルリンフィルハーモニーは同じような形をしているサントリーホールと比べると25%ぐらい大きいのです。ステージの後方が広いですね。その分、ベルリンフィルのすさまじい音にも音が飽和せず、聞きやすいですね。