2021年 03月 29日
横浜のMさんと夜香さんが満を持して 2 |
お二人が来られる前、emmのイコライザーと光カートリッジでGRFをならしたときに、結線を戻さなかったのは、お二人に結線の簡単な違いを説明するためです。SD05の入力が、光りのイコライザーか、何時ものMolaMolaのCD系かの違いだけだからです。その違いを理解していただくために、お二人の前でつなぎ替えました。そして、ウーファーだけでならしたときの無音状態をご理解いただき、それにトラバドール系をならしている、6336Bアンプのスイッチを入れたのです。
全部の準備が終わって、今一度、最初からハイティンク・コンセルトヘボウの新盤のマーラーの第四番を聴いていただきました。冒頭の鈴の音から、第一ヴァイオリン群の響き、そしてチェロとコントラバスの鳴る位置の違いが聴き所です。前の80/TW3だけで鳴らすよりは、オーケストラの奥行きが立体的に鳴り響きます。すると、神妙に聴かれていた横浜のMさんが、奥行きは凄いのだけど、奥の方で音がねじれているというか、交差している気がするという鋭いご指摘。調整のポイントを少し聴いただけで解るとは、驚きました。
ここは、大山さんと何遍か聞き比べたポイントです。300Hz以上の音域を受け持つトラバドール80と、その下を受け持つTW3は12dbのカーブで繋いでいます。TW3も前後のユニットで、前と後ろの両方に低域を放射していて、回折効果で、ほぼ全方向へ低域を伝えています。12dbでのカットだと、位相は反対になります。その為、TW3の入力で位相を反対に接続しているのです。この違いは明らかで、逆位相の場合は周辺に音場が展開しますが、正位相で繋いだ場合はおとがまとまってしまい広がりません。
問題は、その後方に置いてある50Hzでやはり12dbで繋いでいるTW5の位相です。こちらは、6336Bとは独立して、SD05で別に駆動されています。そして、TW3の後方に置かれるTW5が正面を向くと、すぐ前にあるTW3のウーファーと反発したり、打ち消したりしてしまいます。そこで、TW5をいろいろと動かし、重なりの一番少ない90度直交する横向きの置き方に落ち着きました。それでも、位相は重要な問題です。TW5は単体では何も聞こえてきません。会場の騒音とか、聴衆の息遣いや会場内の空気の流れ、いわゆる「気配」を再生しているのです。
切り替えスイッチで、TW5の超低域の音は、入れたり切ったり出来ます。単体では、何も聞こえてこない超低音が、音楽と一緒に再生されると有無はどなたにでも解るのです。最低域の伸びや力強さがまったく違うからです。同じように、その部屋のどこに低域用のSPが置いてあるかでも、音場は違って聞こえます。
その違いを、横浜のMさんは、少し聴いただけで「音がねじれている」という感想で看破されました。私も悩んでいた点でした。50Hz以下の超低音の位相は、その上の帯域を司るTW3に対して逆相にするのか、300Hz以上で鳴っているTroubadour80に対して逆相にするかです。微妙だけれど、システム全体から見れば大変大きなポイントですね。置かれている位置でも勿論変わります。Mさんの指摘で、TW5の位相はTW3に対して逆相の理論通りの位相に換えました。
すると、怪訝な顔をされていたMさんの表情が緩みました。この点だけでも、Mさんに来ていただいた甲斐があったという物です。私は、大きなコンサートホールに響いていく大太鼓の音の広がりが好きなので、より低いホールの音の再現性を求めて、80に対して逆相にしていたのですが、聴かれる音楽、求める音の響きの差を、TW5の位相だけで調整出来るのは、応用が広くなったと思います。
それならばと、コンサートホールのアンビエンスを付加する目的の後方においてある40の接続も外してみました。実は少しだけレベルが高く、Mさんの耳には、その響きが過剰に聞こえると思ったからです。オーケストラの演奏には良いのですが、リートやピアノの響きには、ホール音の付加が過剰に聞こえるからです。その上方からの響きが消えると、音が床の方に下がりますが、80の存在感が大きいので、実際には問題は無いようです。
聴き進めていくと、エリー・アメリングの声量ある声とメゾソプラノの周波数が共鳴して、右側の80の音が割れて歪みが出ました。このきつい音も、同じユニットを使っているMさんから指摘を受けていた問題点です。ユニットの近くで聴いてみるとどうやら上下にスタックしてあるDDDユニットの下の方からその響きが聞こえてきます。
40も80も、円筒形のキャビネットに接続されていて、不要な低域を吸収するようになっています。その筐体は、ジュラルミンで出来ていて、大変強固な造りです。そのキャビネットに6本のネジで留まっているのですが、冬場の寒いときには、ネジが微妙に緩みます。それを締めすぎない程度に増し締めするのですが、反対に春になると、幾分緩めないと剛性の高いキャビネットに固定されているユニットにストレスがかかります。聴きながら、ネジを微妙に緩めて音の調整を聴きます。右側の当該のユニットを調整したら、歪みは大分少なくなりました。他の部分もやはり再調整を施そうと思いました。
何時ものCDを聴き進めていく内に、プレヴィンとマックレーアの何時ものアルバムを聴いたとき、今少し声の膨らみ、ボディー感が出ると良いのだがと指摘がありました。それは、私がオーケストラの響きを出すために、意識して音を薄味に仕上げているからです。6336Bは一次側のインピーダンスが820KΩしかありませんので、32Ω端子を8Ωとずらしてマッチングさせているので、低いインピーダンス方向には余裕があります。現在は4Ω端子を使っている接続を、8Ω用に換えると全体が幾分濃い味付けになります。そこは想定範囲でした。
隣でお聴きになられている夜香さんの表情がとても良いので、安心しました。私は、これから運転しなければならないので、ご相伴にありつけませんが、今日はお二人に来ていただくにあたり、とっておきのワインを用意してありました。それを開けて、お二人には乾杯していただきました。私は、換気のファンを回して、マスクをしながら、明日なら一緒に味見が出来たのにと、マスクの中でブツブツと言ってました(爆)。
とっておきのワインは、ワインスクールのオーナーでもあるMさんにもとても気に入っていただき、詳しいワインの説明資料を写していたほどです。赤ワインが入って、今までの試聴モードから音楽を楽しむモードに変わりました。そこで、世良譲やジョージ川口、北村英治が伴奏している、八代亜紀のジャズ風の実況録音盤を楽しんでいただきました。端で聞いていてもジョージ川口のバスドラムスの音だどは、実物大で聞いている感じになってきました。
前半のトラバドールによるCD系のシステムはこのあたりで・・・。
by TANNOY-GRF
| 2021-03-29 09:13
| 来たり
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