2021年 03月 31日
夜香さんのご感想 |
土曜は横浜のMさんといっしょにGRF邸にお伺いした。
GRFさんといえば、先日来、光カートリッジに夢中であり、これまでのLP再生とは次元の違うサウンド体験であったとブログで熱く語っている。 ご自分が納得すれば、ハヤテのごとくの実行力を発揮して、すでにご自宅でも光カートリッジの運用を開始された。友人の協力もあり、なんと最高級機のDSグランドマスターも実験中という。
さらに、トロバドールシステムではなく、GRFと光カートリッジを組み合わせ、これまたかつてないほどの音楽的興奮を味わっているという。 それを聴かない選択肢はないだろう。
本当は、オタク訪問は日曜であったのだが、天気予報では午後から嵐のような大雨とも言われており、ちょっと躊躇していた。そんなとき、横浜のMさんから土曜日の朝に「雨が心配だから日曜日はやめて今日はどう?」と打診があった。もともと、GRFさんには土曜日に用事がありダメになったと思っていたのだが、打診した結果、前倒し訪問となった。
雨の気配もなく、良い天気で満開の桜を楽しむこともできたし、今回の判断は大正解であった。唯一、夕方に車で出かけるGRFさんはお酒が飲めずに気の毒ではあったけど。。。
約束の時間にGRF邸に到着。
前回はシアター化した「GRFの部屋」を楽しませてもらったが、今回は本来の「GRFの部屋」、いうなれば「真GRFの部屋」訪問である。
この日はGRFとDSグランド・マスターでアナログディスクを聴きまくる心づもりであった。しかし、光カートリッジと出会うほんの一ヶ月前に、「最新のトロバドールシステムサウンドを聴きに来ないか?」とお誘いいただいており、その実行の日程をもともと模索中であった。それが、光カートリッジの導入で全く違う方向に話が進んでしまい、今日の訪問目的がすっかり変わってしまった。
だから、GRFさんとしては天塩にかけたトロバドールサウンドも聴いてもらいたいという気持ちが潜在的にあったのだろう。「せっかく来てくれたんだから、トロバドールも聴いていってよ」ということになった。もちろん、喜んで聴かせていただくことにした。
それからが大変。装置はすでにGRF用にセッティングされていたわけだから、急な思いつきでトロバドールシステムように接続替えをしなくてはならない。 もちろん、そういう機器の入れ替えは日常茶飯事でこなされているGRFさんだから、問題はないのだけど、セレクターを切り替えればOKなんてことではないわけで、スピーカの結線をかえ、アンプを変え、ソース機器を変え等々、それなりの時間がかかる。
ようやく、システムの接続変更が完了し、トロバドールシステムで音を聴かせていただいく。こちらはアナログはなしですべてCDやSACD。
トロバドール80を中心とした2ウェイメインシステムに加え50Hz以下用にサブウーファを組み合わせ、さらにエフェクト用にトロバドール40を組み合わせたマルチアンプシステムとなっている。クロスオーバーは使っていないのでパッシブ型マルチである。
クラシックのオーケストラや歌ものを中心に聴かせていただい。
サブウーファの効果は、やはり非常に大きく、重低音がドスン、バシンと弾ける!なんてことには実はならない。映画コンテンツで鳴らすサブウーファとハイファイオーディオにおけるサブウーファの貢献度は、実は全く違う。サブウーファを加えることで、音色は一層しなやかに柔らかくなり、甘みのある香り高いサウンドになる。我が家でも30Hz以下にヤマハのサブーウーファをくみあわせているが、それと全く同じ成果を感じ取ることができる。
もともと、素晴らしい音であったが、今回はさらに豊かな音情感、それは深みと言っていいと思うが、そういう奥の深い立体感を感じさせるサウンドを得ており、クラシックの生演奏に馴染みのある方なら、驚愕すべきリアルなクラシック演奏を聴かせてくれる。それはオーディオ装置が目の前で単に鳴らしたものではなく、日夜、手を変え品をかけ、あきらめることなく、おごること無く日々サウンドの研鑽に精進してきたGRFさんの執念の音である。
この日のためにと用意してくれた超絶の美味しい赤ワインの力もあり、もっとずっと聴いていたい、魅力あふれる演奏であった。
残念ながら、この日は3時間という短い時間したなかったので、後ろ髪惹かれる思いであったが、真打ちとも言えるGRF meets DS Grand masterを聴かせていただく。
ラインアップは常用のプレーヤにセットされたDSグランドマスターを光フォノイコに接続し、それをSD-05のアナログ入力にいれて、そこからGRFに繋ぐ。GRFサウンドの原点ともいうべきシンプルな装置である。
最近、特に相性が良いと言われる名歌手たちのライブ盤を中心に聴かせていただく。
DSグランド・マスターで再生するライブ盤の素晴らしさは、過日、Hさんのオーディオルームで体験していたが、ある意味、本家本元とも言えるGRFのある部屋でGRFが鳴らすサウンドは、これはGRFさんが愛してやまない実力のある名歌手たちの力量を存分に引き出し、素晴らしいライブ体験をさせてくれる。その前に聴いたトロバドールシステムによる、圧倒的なハイファイ調のサウンドとはもちろん違うが、確かに、以前、この部屋で聴かせていただいたGRFサウンドとも一味違うLP再生である。
途中、音軸が直交するまさにその位置でも聴かせてもらったが、これは大きな平面駆動型ヘッドホンの世界に近い、オーディオならではの音響空間を感じさせてくれる、GRFの真骨頂とも言えるサウンドである。途中、横浜のMさんから「定位置のソファの場所ではGRFの真価が聞き取れない。ソファを前にだすべき」と強烈な指摘があったが、私はさらにそれを推し進め、専用のお一人様イージーチェアをベストポジションにおいて楽しんだ方が、もっと幸せなGRFサウンドになるだろうと思った。むしろ、三人がけソファを外に出してしまって、お一人様の椅子を三脚くらいおいたほうがどちらのシステムのベストサウンドにも対応しやすいのでは?などと思うほど、ベストポジションでのGRFサウンドは圧倒的に魅力あふれるものであった。
ここはGRFさんの実験の場でもあるから、機器類や配線材がところ狭しとひしめいており、仮に一度、それを整理したとしても、すぐに元の木阿弥になるだろうことは容易に予想できるため、「GRFだけがある部屋」にしないと両立は難しいのかもしれない。
途中、郷ひろみの哀愁のカサブランカのマスターサウンドシリーズの新品を袋からだし、そのまま再生した音と、超音波洗浄したあとの音の違いも楽しませてもらった。
経験上、あきらかに洗浄したほうが音を語る性能的な意味でのワードのそれぞれは、改善したと聴き取れる。今回もその結果には違いはなかったが、一層鮮明かつ鮮度感があがることで、録音されたデジタルマスターのサウンドを意識させる結果となり、これをレコードで聴く意味はあるのか?という疑問が残った。Hさんのところでも、デジタルマスターのレコードではそんな感じに聴こえた。DSグランドマスターは、そういう情け容赦ない情報量を引き出してしまうため、すべてのレコードが良い音で聴けるわけではない。
それはGRFさんが私のために用意してくれた明菜のレコードでも顕著だった。ビター&スイートというアルバムに入っているSo longという曲を再生してもらったが、残念ながら音の悪さばかりが耳につく結果となった。電磁式のカートリッジなら、ここまで赤裸々にこのレコードの録音が優れたものではないことをあからさまにはしない。DSグランド・マスターは、稀有な再生能力をもつ高性能トランスデューサーではあるが、その鬼のような正確極まりない再生能力はレコードの良し悪しを○バツ式に選別してしまう。
レコードに録音されている音が、音楽が優れているならば、かつて聴いたことのないようなLPサウンドを聴かせてくれるが、CD時代になって以降のLPだと、「この程度のLPならCDで聴けば?」と言いたげなほど、LPで聴く必然性を否定するような音にもなってしまう。
ラストはフランク永井の公開録音盤。こういうレコードの再生は見事としかいいようがない。
いろいろなソースを満遍なく楽しんできたGRFさんだからこそ、光カートリッジの稀有な能力とそれを最大限に発揮するソースの相性のようなものにいち早く気づいたのだと思う。
先程も書いたように、このカートリッジだけだと聴く気にならないLPもあったりするから、他のカートリッジも必要なんだけど、でも、同じくらい光カートリッジじゃなければ出ない音もあり、これは私もなんとかせんといかんなあと、あらためて感じた。
今回は時間切れで拝聴できなかったが、次回はトロバドールシステムでDSグランドマスターのサウンドを聴かせてほしいとお願いして、この日はお開きとなった。
GRFさんに高円寺まで車で送っていただき、私と横浜のMさんは高円寺ナイトをスタートさせた(笑)
GRFさん、大変お世話になりました。手塩にかけた装置を、その本人がきちんと鳴らす、やはりこれが王道オーディオだとあらためて思いました。
ありがとうございました!
by TANNOY-GRF
| 2021-03-31 00:18
| 来たり
|
Comments(3)
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TANNOY-GRF at 2021-03-31 12:01
横浜のMさんからも、ご連絡をいただき、今回の音の感想と今後の展開のアドヴァイスをいただきました。当日もそうですが、Mさんのご指摘は、大変的を得ており、またより良い音を求める正確な指針をいただいております。
光はまだ始まったばかりだし、SD05とGRFだけというシンプルな装置なので、メインのトロバドールでどのように鳴っていくかを期待されているそうです。
その時の部屋の響きの調音や音の微妙で精緻な調整方法で、貴重なアドヴァイスをいただけました。私のお聞かせしている内に気付いた点もあり、より深く調整していくのに的確で奥深いご指摘です。それをいただけるほど、今回の音は、Mさんの心にも届いたようです。
嬉しいですね。今回の音を出発点として、部屋の音の見直し、ソファーの位置、テーブルの配置等々、新たなる大海に漕ぎ出す為のエールをいただきました。
横浜のMさん、夜香さん、今回も貴重なご意見ありがとうございました。
光はまだ始まったばかりだし、SD05とGRFだけというシンプルな装置なので、メインのトロバドールでどのように鳴っていくかを期待されているそうです。
その時の部屋の響きの調音や音の微妙で精緻な調整方法で、貴重なアドヴァイスをいただけました。私のお聞かせしている内に気付いた点もあり、より深く調整していくのに的確で奥深いご指摘です。それをいただけるほど、今回の音は、Mさんの心にも届いたようです。
嬉しいですね。今回の音を出発点として、部屋の音の見直し、ソファーの位置、テーブルの配置等々、新たなる大海に漕ぎ出す為のエールをいただきました。
横浜のMさん、夜香さん、今回も貴重なご意見ありがとうございました。
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横浜のM
at 2021-04-01 13:56
x
GRFさんはスピーカーシステムは考案して作ってしまうわ、ビッグバンドJAZZのCDをプロデュースしてしまうわ、単なる聴き手としてのマニアではないんですね。
制作陣の苦労、心境、手の内までも理解されているので懐の深さは半端ではありません。聞き手の要望を理解し、すぐ音で表現してくれる。まるで一流レストランのオーナーシェフのようです。
今度は夜香さんの言われるように光+トロバドールシステムを体験してみたいですね!
制作陣の苦労、心境、手の内までも理解されているので懐の深さは半端ではありません。聞き手の要望を理解し、すぐ音で表現してくれる。まるで一流レストランのオーナーシェフのようです。
今度は夜香さんの言われるように光+トロバドールシステムを体験してみたいですね!
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TANNOY-GRF at 2021-04-02 02:42
横浜のMさん
先日はお越しいただきありがとうございました。急遽、予定が変更されたので、全体の時間が短かったかもしれませんが、前からお聞かせしたかった、トロバドールでのマルチシステムは真価を発揮できたと思います。それに、Mさんのご要望にお応えして、微妙な色調を変えることも出来るようになってきました。
光の方は、まだあの時点では、GRFでしかならしていませんでしたが、それでも、光カートリッジ特有の静けさと低域の広大さは聴いていただけたように思います。
今週末には、お借りしているカートリッジやイコライザーは一旦返すので、長めのケーブルを用意して、メインのシステムに繋ぎました。その予想以上の大きな違いに驚いています。
是非、また時間を作って遊びに来てください。
先日はお越しいただきありがとうございました。急遽、予定が変更されたので、全体の時間が短かったかもしれませんが、前からお聞かせしたかった、トロバドールでのマルチシステムは真価を発揮できたと思います。それに、Mさんのご要望にお応えして、微妙な色調を変えることも出来るようになってきました。
光の方は、まだあの時点では、GRFでしかならしていませんでしたが、それでも、光カートリッジ特有の静けさと低域の広大さは聴いていただけたように思います。
今週末には、お借りしているカートリッジやイコライザーは一旦返すので、長めのケーブルを用意して、メインのシステムに繋ぎました。その予想以上の大きな違いに驚いています。
是非、また時間を作って遊びに来てください。