2021年 05月 26日
「のびーさん」が来られました |
連休中の4月の末に、ロンドンから到着された「のびーさん」は、日本到着のあと、三日間の監禁生活を経て、連休後半から日本に来られていました。お仕事も一段落された先週は新潟のXIさんのお宅をMFさんとご一緒に訪問されて、スケールの大きな音に今更のように感心されたそうです。私も、自由に往来が出来るようになったら、美味しいさかなも含めて、新潟に遠征したいと思っています。
六月中旬にロンドンに戻られる前に、二月に訪れていただいた時のつづきを聞きに来られました。今回は、その時には無かった光カートリッジの音の確認でもありました。二月の末、H氏邸で光カートリッジに驚いたとき、ご一緒に聴いたのがのびーさんでした。いわば歴史の変換点に居合わした事になります。
それからご案内の通りの大騒動が勃発して、ようやく終結したところで、今回その結果を聞いていただくことになりました。前回はスクリーンが片づいていなくて、左横に置いてあったので、音が左に寄り気味でした。今回はその問題は無く、前の80 / TW3で充分奥行きのあるステレオ音場がでていました。それに、後方のアンビエンスを付加する40とSD05で独立に駆動されている50Hz以下を受け持つTW5が加わった陣容です。
最初は、定番の79年の越路吹雪のリサイタルから大人の音を聴いていただきました。落ち着いた音です。音量は小さめだったのでステージの後方から聞こえてきます。そして、都はるみのリサイタルの川崎のホールとNHKホールの差も聴いていただきます。ブラームスのセレナーデのB面、シュトライアーのコントラバス協奏曲、森進一のリサイタル、その拍手や観客の位置と、ステージ上の位置など立体的な音場が展開します。
一通りレコードを聴いていただいてから、CDも聴いていただき音像の出方をご説明しました。そして、後ろのTW5の調整法を説明します。TW5だけをならし、他を消すと殆ど何も聞こえなくなります。ただ、オン・オフでは、その場の空気感だけが変わるのです。気配とも言いましょうか、会場にいる臨場感がオン・オフされるのです。
前回、聴かれたときより、後方の40の音が滲んでいないそうです。これはひとえに位置調整のたまものですね。聴きながら調整すれば出来るのですが、最初の内は、そのあっている位置と、少しだけずれている位置の違いを認識することが難しいです。1ミリも動かさないのに前に行ったり、後ろに戻ったり微妙に変わります。調整はその繰り返しだけですね。
前回のびーさんが来られたときと違うのは、やはり、光カートリッジとその専用のemmのイコライザーの存在です。DSオーディオには、自社のEQと外部のEQが有ります。私はemmのDACを使っていますので、音の共通性でEMMのイコライザーを選びました。試しにCDとレコードでカンターテドミノを掛けると、ほぼ同じ音がします。どちらかが凄く良かったり、悪かったりするのは、悪いほうに改善の余地があると言えましょう。リマスターされたデジタル音源ならな、同じ音がして当たり前なのです。emmのDACとEQは切り変えても、同じ音の傾向です。これがemm特有の音なのでしょうね。
のびーさんは、来月にはロンドンに戻られますが、ワクチン接種が進んできた英国と後れを取った日本の間の行き来が、今のような入国時の隔離政策が無くならないと難しくなります。今日、アメリカが日本への渡航を禁止しました。あの世界一の感染国だったアメリカから、日本が渡航禁止の対象国になったのです。この一年の政府の無策と日本の企業の地盤沈下が今の日本の現状でしょう。日本の企業の95%を占める中小企業の活力がでるような財政政策をして行かなければ、日本の国際的な地位はどんどん下がっていくだけでしょう。
のびーさんはロンドンで、私のシステムとほぼ同じ構成を持っています。今回はサブウーファーの使い方をマスターしていただいて、余裕有る音を響かせてもらいたいと思いました。久しぶりに乾杯しようと、日本酒で出来たとっておきの発泡酒を開けたら、凄い勢いで吹き出し半分ぐら吹きこぼれてしまいました。開ける前に振ったわけではないのですが、日本酒由来なので発泡が進んでいたのでしょうね。それを拭き取るのはあとから大変でした。そのまま乾燥させたらベトベトになるからです。
そんなこんなで、肝心な最低音が鳴り響く、オルガン曲をお聴かせするのを忘れました。その音をやはり聞いていただきたいので、帰国前に、今一度来ていただくことにして、またお仕事に戻って行かれました。こうして、少しづつですが、家と同じ音が広がっていくのは嬉しいですね。広い、静かな部屋が必要だという条件は厳しいのですが、Hさんもこの音のために専用の部屋を作られたし、のびーさんもロンドン郊外の静かで大きな部屋をお持ちです。ぜひその環境を活かされて、TW5でコンサートホールをお家に持ち込んでください。
また、German Physiksの無指向性のSPをお使いの人はもちろんのこと、音場型の再生を目指されている方は、奥行きを持って、お部屋の中の自然な時間差を活かした音場再生を試みてほしいのです。通常のステレオ再生に、少しの工夫をされるだけで、コンサートホールの自然な響きが現れる方式です。昔からの日本間の二間続きの和室などが可能な方は、すぐに実験できますのでぜひチャレンジしてみてください。何事も実験と実践です。失敗を恐れていたり、あたまの中で考えているだけでは、文字通り「下手な考え休むに似たり」で、人生は終わってしまいます。
by TANNOY-GRF
| 2021-05-26 13:13
| LONDONの のびーさん
|
Comments(2)
Commented
by
のびー
at 2021-05-26 21:40
x
昨日は、ありがとうございました。
左側に鎮座していたスクリーンが無くなったこともあり、一段とレベルが上がった再生に時間が過ぎるのも忘れるほどでした。
まず、2月以降、時間をかけて調整された光カートリッジを聴かせて頂きました。
レコードは音色でデジタルを凌駕することは度々ありますが、ここまでデジタルに引けをとらない3次元の空間表現を聴いたことはありません。
歌謡曲では全体的にSP後方に音場が展開しており、光カートリッジの音場表現の特長かな、と思っていたところ、ブラームスのセレナーデでは、前方から後方まで深い音場が出現しました。音場の大きさ、深さは録音次第のようです。
ソースをCDに切り替えると、やはりCDらしい安定感を感じます。レコードでの3次元音場を追い込むことで全体のセッティングの精度が更に上がったと理解しました。
その後は、調整方法のレクチャー。
既に何度も全体的な調整方法を伺っていますが、今回はTW5の調整に絞ってじっくりと教えて頂きました。
あとは私がどれだけ頑張れるかです...汗汗。
左側に鎮座していたスクリーンが無くなったこともあり、一段とレベルが上がった再生に時間が過ぎるのも忘れるほどでした。
まず、2月以降、時間をかけて調整された光カートリッジを聴かせて頂きました。
レコードは音色でデジタルを凌駕することは度々ありますが、ここまでデジタルに引けをとらない3次元の空間表現を聴いたことはありません。
歌謡曲では全体的にSP後方に音場が展開しており、光カートリッジの音場表現の特長かな、と思っていたところ、ブラームスのセレナーデでは、前方から後方まで深い音場が出現しました。音場の大きさ、深さは録音次第のようです。
ソースをCDに切り替えると、やはりCDらしい安定感を感じます。レコードでの3次元音場を追い込むことで全体のセッティングの精度が更に上がったと理解しました。
その後は、調整方法のレクチャー。
既に何度も全体的な調整方法を伺っていますが、今回はTW5の調整に絞ってじっくりと教えて頂きました。
あとは私がどれだけ頑張れるかです...汗汗。
Commented
by
TANNOY-GRF at 2021-05-26 22:31
のびーさん 昨日は短い時間でしたが、充実していましたね。言われるように、レコードの音場を出す為に、SPの位置調整が一段とあってきたようです。私自身、レコードがあれほど奥深い音を出してくれるとは思ってもいませんでした。
低域のイコライザーカーブが反対なので、最低域をカットでターンテーブルに起因するレコード特有の雑音が出ません。するとあれほど、SNがいいおとがレコードからも出てくるのですね。本当に驚きました。
TW5であれほど低域を伸ばしても安心してレコードが聴いていられるのは、本当に革命的です。
ご帰国前に、またお越しください。先日忘れたオルガンの最低域を味わってTW5の実力を聴いていってください。
低域のイコライザーカーブが反対なので、最低域をカットでターンテーブルに起因するレコード特有の雑音が出ません。するとあれほど、SNがいいおとがレコードからも出てくるのですね。本当に驚きました。
TW5であれほど低域を伸ばしても安心してレコードが聴いていられるのは、本当に革命的です。
ご帰国前に、またお越しください。先日忘れたオルガンの最低域を味わってTW5の実力を聴いていってください。