2021年 06月 02日
DSオーディオの003の音とは |
DSオーディオのカートリッジは、メカ的には世代が同じならほとんど同じです。では、何故あれほどの価格差があるかというと、カンチレバーの材質と組み合わせられるその接合方法に有るのです。カンチレバーだけでも、普通のアルミ、ボロン、そして宝石のサファイア、最後はダイアモンドとグレードが上がっていきます。それに伴って、組み合わされる針も、楕円針、シバタ針、マイクロリッジ針とグレードが上がっていきます。ダイアモンドカンチレバーにダイアモンドのマイクロリッジ針を一体成形している、と言う高度な技術を経て宝石加工専門会社で作られているのです。他社も100万円を超えるカートリッジが出てきていますが、同じ技術で作られているジュエリーですね。女性がダイアモンドに憧れるのと同じかもしれません。(汗)
しかし、光カートリッジの凄さは、その材質の差よりも、やはり磁気回路を使わない構造と、第3世代と言われる左右専用に光源と受光体を持ったメカニズムにあります。それにより大出力とクロストークが格段に良くなったのです。特に、微少信号=微少な針の動きを細かく捉えて、その差をはっきりと音声信号に変えます。磁気回路ではないので、低域を持ち上げる必要が無く、50Hz以下のフィルターと、レコードが沿っているときなどに発生する超低域振動もカットする30Hz以下の二段フィルターで、ターンテーブルのゴロやモーターの振動もカットして、極めて静かな音の環境を作るのです。
その振動を針から、カンチレバーに伝わり、そのカンチレバーの振動を直接遮蔽板の動きにして、光の受光体でアナログ信号を作成します。極めてシンプルな構造です。DSオーディオの母体会社、デジタルストリーム社は、その光素子の専門会社です。その繋がりに何かの縁を感じますね。そして、会社のある相模原市やお隣の町田市は世界中のカートリッジや針を作っている会社がある極めて恵まれた地域だったのです。
第2世代までは、四角い遮蔽板を45度にして、隣り合う左右の受光体の境での45度方向の振動を信号に変えていました。振動板は45度方向ばかりでは無く上下にも振動しますから、微細な信号はどうしても左右に同じ信号として捉えられ、その分クロストークが発生していました。第3世代から受光盤と光源を45度方向に傾けて、完全に左右に分けました。それにより、問題だった高域のセパレーションが10db以上向上したそうです。特に最初の第一世代の時に言われた高域のきつさがなくなり、柔らかな響きが見えてきたのです。
世代が同じだと、価格差は、振動系の差になります。カンチレバーの材質と針との組み合わせの違いが、音の差、延いては価格の差になっているのです。アルミとダイアモンドですから、仕方ないかもしれませんね。針でピックアップされた溝に刻まれた振動は、針からカンチレバーを通じて、ベリリウムの遮蔽板へと伝わります。各々のパーツにはみな固有の振動数があり、アルミはアルミの音、サファイアにはサファイアの音が必ずつきまといます。針の形状の差も大きく、ぴったりと溝に入ったときの安定感は音楽再生には大変大事です。
そして、今まで殆どのMC用イコライザーがなしえなかった超低域の音を再現してきます。オルガンやコントラバス、コントラファゴット、大太鼓、ハープなどの低音楽器です。コントラバスがオクターブ下を弾くベートーヴェンやブラームスの交響曲の迫力有る低域には驚かれるでしょう。それは、光カートリッジの特有のRIAAカーブの補正にあります。MC型やMM型の磁気回路を使った発電は針が早く動く高域の方が出力が大きくなります。反対にゆっくり動く低域は発電量が低いのです。その為、RIAAのイコライザーカーブで低域が持ち上がり、同時に余計な雑音も大きくしていました。
光カートリッジは、持ち上げていた低域の信号を反対に下げて、尚且つ、50Hz、30Hzとカットします。それが、ターンテーブルやレコード自体の擦過音等も下げて、バックグラウンドノイズを劇的に静かにします。その効果は大きく、ノイズに埋もれていた最低域の微小信号を浮かび上がらせるのです。未だかつてレコードからこの様な最低域の音を聴いたことはありませんでした。カラヤンが良く言うように、静かなコントラバスの全奏ほど美しい物はありません。ベートーヴェンやシベリウス、ワーグナーを聴くと、驚くと思います。そして、チェロとコントラバスの音が、分かれて立体的に響いてくるのです。
今までは、それらのピアニシモの再現はCDやSACDの独壇場でした。4トラックテープや2トラックのマスターテープはもちろんその音を再現していているので、これだけ頑張って収集してきたのです。ところが、その低音とSN比を普通のレコードから再現できるとしたら、本当に大きな革命的な出来事なのです。今回、普及帯?の003がリリースされたことで、従来からのオーナーは第3世代の立体音を聞くことになります。皆さんのお宅の装置がどのくらい変わるか楽しみですね。
by TANNOY-GRF
| 2021-06-02 05:47
| オーディオ雑感 レコード篇
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