2021年 07月 21日
夜香さんの行動力 |
土曜日に夜香さんのお宅に導入されたReedのリニアトラッキングアームの5Aの動作と音を聞きにお伺いしました。Hさんの素晴らしい専用ラックを作られた大山さんも一緒です。夜香さんとは定期的にお会いしていますし、コロナ禍でも、家やH氏別邸等で、定期的にお会いしています。前回、夜香さんのお宅を訪問したのは、今回と反対で、Hさんのお宅から、大山さんの車で、夜香さん、横浜のMさんと一緒の時でした。あの時は、まだコロナは拡がっていませんでした。遠い昔のようにも思えます。
アームの違いがはっきりわかったのですが、夜香さんから光カートリッジの場合、レコードを何枚も掛けると音が鈍くなったり、片側がよく聞こえなくなることがあるのだが、家の光ではどうかと訊かれました。そうです、光カートリッジの場合、溝に刻まれた情報を直接的に正確に変換するので、普通のカートリッジでは気にならない微妙な差が音に表れるのです。
それと、光カートリッジは、磁気による常に中心に戻ろうとするフォースの影響を受けません。針は溝の中を自由に動くのです。特にリニアトラッキングのアームを使っている場合、常に溝の中心を維持しようとします。ラインコンタクト針(シバタ針)やマイクロリッジ針ですと、しっかりと溝の信号を取り出すと主に、埃などが挟まると、その影響を受けやすくなります。
光カートリッジを使う場合、まずレコードを洗わなければなりません。それでも使い込んだレコードは、溝の奥に埃が付いている場合もあります。それを、磁気の影響を受けない光カートリッジは、柔軟に溝の隅々まで触って信号を取り出してきます。その為に針先に埃が付きやすく、しばらく使わなかったレコードや、新品のレコードも離型剤などの影響で、音が曇るので、まず超音波洗浄を行っています。私も、光カートリッジの導入と同時に、超音波レコード洗浄機を使うようになりました。Hさんも毎回洗われていますね。
それらの細かな、汚れが針の表面に付着して、針と溝の間に入り込み、信号をカバーしようとします。ダイアモンドの表面に付く汚れを取れるのは、アルカリイオン水だけです。水を電解してPHを高めたアルカリ水です。中和されればただの水ですが、アルカリに弱い材質では腐食が起きます。ダイアモンドの針先だけを洗うようにしないと、アルミやボロンのカンチレバーは腐食しますので、細心の注意が必要ですね。
その、針先の洗浄は、光カートリッジばかりでは無く必要なのですが、光と影で、微細な音まで正確に取り出せる光カートリッジでは、レコード洗浄と針先洗浄は欠かせませんね。そのことがしっかりと実行されていて、リニアトラッキングアームの意味もしっかりと出てくると思います。夜香さんも、その事実を把握されていましたが、それほど頻繁に清掃しなければならないのかと思われてもいました。針先の洗浄は、慣れればあっという間です。夜香さんは、アルカリイオン水をメラミンスポンジに浸みさせて使われていました。衝撃も吸収するし、針自身にも優しいですね。家でも早速使ってみました。
この日まで、夜香さんはジャイロSEのターンテーブルのワウフラッターに悩まれていました。私が聞いたときは、それほど気にはならないように調整されていたのですが、隣にはテクニクスのダイレクトドライブのプレーヤーもあり、やはり気になられて、ベアリングの交換にもチャレンジされましたが、直らないと悩んでいるところだったのです。プレーヤーを拝見すると、ターンテーブルの外周をゴムのベルトが一周して、2センチぐらいのプーリーを持ったモーターで駆動されているのです。
私のプレーヤーももとはゴムベルトでした。ゴムベルトは設置は楽なのですが、ベルト自身の伸び縮みが、音に現れどこか安定感がありませんでした。そこで、昔は主流だった糸ドライブを試みました。糸もいろいろ試して、現在は耐熱のノーメックスのスパン糸を使っています。その経験から。ゴムベルトをやめて、糸ドライブを試されたらとアドヴァイスをいたしました。ゴムベルトが伸びチジミしているという説明に夜香さんは深く納得されていました。
そのあとの、H氏別邸の音については、昨日説明しましたが、久しぶりに充実な時間を過ごし、思ったよりは早く戻れました。
すると翌朝八時半頃、
おはようございます。
昨日、糸ドライブにすればワウフラが改善するかもとアドバイスをいただき、早速、とりあえずのミシン糸の三重かけで試してみました(笑)いやあ、驚きました。効果は絶大です!!まるでH氏邸のような安定感のあるプレーヤになりました!というのは、少々盛っていますが(笑)冗談ではなくワウフラは気にならないレベルになりました!
良かったです!昔は糸ドライブが当たり前だったのですが!もっとも50年前の常識ですが(笑)普通のミシン糸だと繊維が短く、使っていくうちに伸びがちです。ノーメックスの糸はその点が安定しますよ!
やはり、凄い行動力です!さすがは夜香さんです。こちらも嬉しくなりました。(笑)
今回の訪問の目的は、H氏邸で光カートリッジに遭遇してしまった夜香さんは、以前から導入を考えていたReedのリニアトラッキングアームを導入されました。今回、真夏の北埼玉で、あえて一年半前の逆コースで、夜香さん邸とH氏邸を訪れたのは、そのReedのアームのAとTの違いを確かめるためでした。
JBLのスピーカーを中心に聞かれている夜香さんの素晴らしいシステムでは、光カートリッジ「003」とReed 5Aの組み合わせは、完璧でしょう。Hさんの様な奥行きのある音場を出す方向では無く、壁全体から過不足の無い、充実した音を出している夜香さんのならし方には、アーム自身を常にレコードの溝に直角にするアームの力を借りて、通常では出てこない最低域の再現が、実にクリアーなのが解ります。夜香さんは、後ろのSMEのシリーズVでも、ZYXのカートリッジを愛用されていて、その音も聞かせてもらいましたが、解像度、周波数特性、活き活き感などが明らかに違って聞こえました。
夜香さんのライカにて
すると10時半頃には、
朝一で、近所のホームセンターで0.55mmの墨壺用ケブラーとナイロンの糸を買って何本か試作していました(笑)やはり、綿のミシン糸とは全然違う音なんですね。いやあ、面白いです!墨壺用なので、強度はもちろんですが、表面に墨が付着しやすように摩擦抵抗が大きくなっているようで、スリップも激減しました。おかげさまで、ここしばらくの悩みが解決いたしました。これでこころおきなく高級モーター換装に取り組めます(爆)
by TANNOY-GRF
| 2021-07-21 09:20
| 行ったり
|
Comments(2)
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夜香
at 2021-07-22 06:15
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私の愛機ジャイロSEはダブルアーム用に改造したもので、オリジナル状態ではワフフラなど感じたことはありませんでした。しかし、ダブルーアームとすることで、モータとターンテーブルの距離がわずかに離れてしまい、その影響でオリジナルベルトのテンションが上がりすぎたことが原因だったようです。GRFさんの適切なアドバイスのおかげで、ワウフラが治っただけではなく、音質まで大幅に改善しました。本当にありがとうございました!現在、ジャイロの代理店がなくベルトの入手もイギリスから取り寄せるしかありません。ケブラーの糸ならホームセンターで500円で買えます。しかも一生分(笑)ジャイロのユーザーみんなにオススメしたいですね。
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GRF
at 2021-07-22 10:50
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夜香さん お役に立って嬉しいです。糸ドライブの全盛時は、いまから50年も前ですから、まさに温故知新ですね。私の愛用の細いスパン糸のノーメックス糸を送りました。比べてみてください。うちでは細手でも強度は充分だし、音も繊細さが出ます。今の糸は、10年近く回り放しですから、寿命も充分ですね!