2021年 08月 03日
タイムマシーン付きどこでもドア 2 |
和室のUnicornも驚愕のリアリティサウンドではありましたが、それでも普通の和室での出来事ですから非現実的な出来事ととらえず、あわよくば、自分のシステムにも何かフィードバック出来ることはないかと考える余地もあるんですが、「GRFのある部屋」のGerman Physiks のTroubadourを使ったシステムでは、そういった余裕は全くなく、採算度外視の音世界を堪能させていただくのみと割り切ってお邪魔させていただきました。
Troubadour+PSDの三次元の音は、今年の2月にも一度お聞かせ頂いているのですが、おさらいということで、後方のTW5、T40の有無の違いを先の和室のUnicornで聴かせていただいたマータのサンサーンスのオルガン、シノーポリのシューベルト、クレンペラーのマーラー、八代亜紀のライブで再度確認させていただきました。その違いについては2月の感想記をご参照いただければと思います。
このように、三次元空間の再生に進化したシステムですが、私自身はこの部屋の音は、デジタルの音源で、主にクラシック音楽のために誂えられたシステムなのではないかと思っていたので、光カートリッジの導入でレコードとこのシステムがどのように融合するのか、興味津々でした。
待望の光カートリッジによるレコード演奏は、越路吹雪さんの68年のライブから始まりました。歌と演奏の巧みさに思わずため息が出てしまいます。どっしりとした安定感、びしっと決まる音像、そしてなによりものすごい鮮度感、そして三次元に展開する音場、たしかに今までのレコードのなり方とは別物です。いや、レコードとは別物と言いましたが、といってCDとも違いますし、テープとも異なり、レコード固有の音色は健在です。この光カートリッジは「003」というグレードだそうですが、光カートリッジ固有の構造や方式については、トップモデルのグランドマスターと変わりはないそうです。
光カートリッジの固有の構造や方式と、MCやMMとの違いは磁気回路を用いていないので、従来からのRIAAのイコライザーカーブからの脱却して、周波数、ダイナミックレンジの改善、レコード固有の低域のノイズが無く、ここにある「Grand Master」と「003」から始まった第3世代の構造変化によるクロストークの大幅な改善がもたらす、三次元のレコード再生であるということは、一聴して納得できました。
加えて、この光カートリッジは、非常にレコードの溝へのトレース能力が高いのではないのかと思います。いくら構造的な配慮をしてクロストークを改善しても、レコードの溝を確実にトレースできなければ、このような安定感のある音にはならないと思うからです。
最近の高性能な車のように、シャーシ、足周り、タイヤの性能が良くなっても、やはりドライバーの腕が必要なように、ターンテーブル、アーム、カートリッジそしてそれを調整する技量が試されるカートリッジなのではないかと思いました。
そんなことを頭で考えているうちに、越路吹雪さんの日生劇場での79年盤、日劇でのクールファイブ、大阪フェスティバルホールの森進一、NHKホールでの都はるみの実況録音盤と、名演が次から次へと演奏されました。特に印象が残ったのは、森進一さんですね。演奏は後方に広がるステージから流れ、声はステージ中央にしっかりと定位し、観客の拍手やファンの女の子の叫び声はリスニングポイント寄りの手前に展開し、まるで観客席に入ったような見事な三次元再生でした。
このレコードは、今までも何度となく聴かせていただいているのですが、今までも、ものすごく立体的に聴こえていた音が、立体的と言った雰囲気ではなく、「三次元の立体」そのものに変わっています。これが、光カートリッジと三次元に展開したTroubadourのシステムが成し得た、新時代のレコード再生なんですね。過日、GRFさんがこの再生音について熱く話をされていたことになるほど納得した瞬間でした。
で、ここまで来ると、「Grand Master」と「003」の違いを知りたくなるのが、当然の流れでして、結線を繋ぎ変えていただき「Grand Master」での演奏が始まりました。比較対象として、先の森進一さんをもう一度演奏していただきました。一聴して、違いはすぐにわかりました。003に比し、上質という一言に尽きるのですが、オーディオ的に言えば解像度の向上、高SN、分解能のレベルが全く違います。しかし、恐れずに言えば、この歌謡曲の演奏で言えば、「003」のほうが伝わってくるものが多いというか、熱気を感じると言えばいいのか、相性を考えると「003」に軍配を上げたくなりました。
となると、「Grand Master」の真骨頂は、この種のレコードではなく、別の所にあるのではとなるわけで、次の演奏を待ちました。GRFさんは、レコードを変えるたびに、入念に針の掃除をされていらっしゃるのですが、あれっ、その針を掃除している時の音が「003」と違うのです。うまく言えないのですが、針音が繊細で滑らかに聴こえました。始まった演奏は、カラヤンのBPOのシベリウス第4番でした。
ガーン、瞬時にオーディオ的な思考が吹き飛びました。黄金期のカラヤン/BPOのパワフルだけど、繊細で、神々しい美しい響きはまさにクラシック音楽の最高峰となる交響曲の凄みがひしひしと伝わって来ます。
指揮者とオーケストラが混然一体となり、それを余すことなく録音媒体に収め、30cmの円盤に刻み込むという一連の芸術作品が時空を超えて今、目の前で蘇っているのです。ここまでの音楽レベルを再現するためには、「Grand Master」が必須なのだということがわかる演奏でした。つまり、光カートリッジとTroubadourのシステムと同時に、盤そのものの素性があってこその、この世界なのですね。
参考にと、この演奏のセカンドプレスも聴かせて頂きましたが、残念なくらいレベルが違いますね。光カートリッジであっても、入っていない情報は拾い上げることは出来ないわけで、高度なシステムであればあるほど、この差は大きいのですね。がっかりしている私に、それではこちらはとGRFさんが取り出したのは、初版のモノラル盤でした。
モノラル盤は、50年代から60年代初期のモノラルからステレオの移行期だけにでていた時代背景から、初版盤しか存在していないので、価格は安いのですが、かなりの貴重品なのだそうです。え、そんなことも知らないのとお叱りを受けそうですが、この盤が録音された年と私が生まれた年は一緒なので、どうかご容赦ください(笑)
さて、モノラル盤の演奏が始まった時は、一瞬こじんまりと聴こえて来たのですが、数分経つ頃には全くそのようなことが気にならなくなり、むしろステレオ盤よりよりホールにおける自然な鳴り方に聴こえて来ました。モノラルですが、一切窮屈なことはなく、自然な広がりを持って聴こえて来るのが不思議ですね。
途中、GRFさんがMolaMolaのプリアンプの操作をした途端、すっと音が消えましたが、これは片方だけ逆相にした時に起きる現象ということは知ってましたが、これは完璧に左右のSPが同期していることの証なんですが、このモノラル盤の録音が、正相や逆相が入り混じっていないことの証だと思うのですが、これって合ってますか?そうだとしても、これ、ステレオのカートリッジですから、やはりプレーヤーそのものも、ものすごい高度な調整がされていることゆえなんですね?
UnicornもTroubadourのシステムも、自由自在に時空を超えて、好きな時に好きな音楽会場にワープできる素晴らしいシステムになられていました。また、それをお聴かせいただくチャンスを頂きましたこと、改めて御礼申し上げます。でも、きっとここで満足して立ち止まることはないのがGRFさんですから、次もまた沢山驚かせてくださいませ!!!
チューバホーン
by TANNOY-GRF
| 2021-08-03 10:56
| 来たり
|
Comments(1)
チューバホーンさん 長文のご感想をありがとうございました。私自身の驚きをチューバホーンさんも感じられたのだとご感想から解ります。
今更のように、三次元の音場を追求してきて良かったと思います。順番が反対でしたら、今回のような光カートリッジの驚きは無かったと思います。クロストークが改善され、微小な信号を拾うことが出来、奥行きのある音場が出現した第三世代のカートリッジに初めて出会うという幸運もありました。数年前に前のヴァージョンと出会っていたら、今回のような感動は受けなかったとおもいます。
出会いのタイミングに恵まれました。何よりも、長年のレコードコレクションが生き返ったのが、何よりも嬉しいです。
今更のように、三次元の音場を追求してきて良かったと思います。順番が反対でしたら、今回のような光カートリッジの驚きは無かったと思います。クロストークが改善され、微小な信号を拾うことが出来、奥行きのある音場が出現した第三世代のカートリッジに初めて出会うという幸運もありました。数年前に前のヴァージョンと出会っていたら、今回のような感動は受けなかったとおもいます。
出会いのタイミングに恵まれました。何よりも、長年のレコードコレクションが生き返ったのが、何よりも嬉しいです。





