2022年 09月 04日
リニューアルされた椀方さんの音は |
一月に故郷の出雲市に戻られた椀方さんのお宅には、五月にも訪問いたしました。その時の音な印象は、すっきりとした音で、数々ある音源の違いも明らかにするニュートラルな音だという印象を持ちました。私の好みから言うと、いま少し重低音が出るといいと思いました。
それから後ろの壁面に多孔質セラミックボードのタイル状のボードを貼り、吸音や音の乱反射で、音が立体的になりました。加えて、引越し前から構想していた、スチール製の剛性がしっかりとしたラックボードを導入されて、その効果か低音がしっかりと出て来ました。
そして私が何よりも嬉しかったのは、その二つの相乗効果で、低域の伸びだけではなく、左右のSPの音が有機的に結ばれ、そして待望のコンサートホールの柔らかく、深い響きが出て来たことです。合成の高い、重量もあるオーダーメードのラックは、音の安定性だけではなく、音のブレをなくし、残響成分や音場情報をしっかりと再現しました。
後方のテレビに、配信の番組を流しても、音はそのモニター画面を包むように広がり、静かな低音が部屋を満たします。私にはホールの音の奥行きが出現したのが嬉しかったです。無指向性のスピーカーだから出る、平面的な奥行き感ではなく、スピーカー周りから後ろがコンサートホールになった音なのです。
持参した、家のレコードから録音したDSDのファイルを再生しても、SD05から深々としたコントラバスが朗々と出て来ます。同じ音源を4トラックテープから録音したものを以前から比較用に作成していましたが、あのテープ特有のレコードから聞いたことのない、コントラバスの深い響きが到頭なり始めたのです。
色々と聞きながら、キャビネットの位置の微調整を行いました。幾分、内ぶりだったSPの向きも完全に平行にして、中抜けのない位置に微調整していくと、低音ばかりではなく会場に広がっていく、ホールの残響が浮かび上がり、SPから後ろの壁まで、コンサートホールが出現します。
私が調整に使っているレコードも何曲か聞いてみました。いつも調整に使っている森進一のリサイタル盤も彼の声や伴奏の楽団のベースの深い響き、ステージ上の歌謡曲特有の弦楽器の音、少し音を外すトランペットの生々しい音には驚きます。続いてこれも定番の越路吹雪のジョージ川口のドラムの切れ味、金子由香利の初期のアルバムから、パリの実際の音をバックグラウンドに使った生録の生々しさ。
Capitol のステレオ・デモレコードに収録されているナットキングコールのスターダストの息を飲む素晴らしさ、家の大きな部屋のTW3とTW5による最低音の豊かさはありませんが、和室のユニコーンの領域はある意味超えて来ました。
65インチもある有機ELが小さく見える配置で自然ですね。しかし、このラックの凄さをまじかに感じて、オーディオ装置の微小信号への対応の重要さを改めて考えました。それは、今まではいろいろな影響で、音場情報の再現が難しかったレコード再生も、光カートリッジ、リニアトラッキングアーム、正確なモーター回転、等々で音が修験し始めました。その音を鳴らして椀方さんのユニコーンもついになったと嬉しかったです。
このユニコーンは本当に不思議なスピーカーです。たった一本のユニットで40〜20,000Hzまで再現します。同一体からの発声ですから、マルチスピーカーのような音のつながり時の問題がありません。位相があっているのです。全方向に放射されていく音は、振動体からの音ではなく、音場が再現されて会場のアンビエンスが出て来ます。その少し時間が遅れてくる、残響音や会場に響き微小な音が出てくると、録音場所の空間が出現するのです。
今回のレコードの音の大変化も同じことが言えます。通常のレコード再生では、リニアトラッキングアームではない場合、レコードの溝の振幅により、針がレコードに接触している場所が、カッティングされた時とは違う場所で接触するので、左右の位相差が出て、カートリッジ内で左右の微小な音が打ち消された音しか出て来ません。加えて磁気回路の反発力で、微小な信号が打ち消されています。
それらを配慮して来たのが、光カートリッジの進化と、定振幅発電用のイコライザーカーブの圧倒的な出力による、SN比の飛躍的改善。常に溝の中央をトレースするレーザービームによる自動追従装置。それに最後に加えた正確な回転数を可能にする、トルクと定速度を可能にしたDCモーターの制御による回転数の正確さも相まって、柔らかいコンサートホールでなっているオーケストラの響きに包まれるようになったのです。
しかし、どのスピーカーもそうですが、左右のSPの相関位置は、音の再現に多大な影響を当てます。左右がバラバラになっていたり、SP自身から音が出ている時は、微妙に位置がずれているのです。それは、1ミリ、2ミリの単位ではなく、振動板の厚みでもある10ミクロン単位の調整が求められるのです。
左右の平行と左右の間隔、部屋の壁の影響への微調整、後ろの壁からの距離と、アンプ類のSPからのフィードバック対策、すなわちラックの重量と剛性、微信号を扱うプリアンプ以前の機器のフローティング化が求められます。
今回の椀方さんの音の大変化は、それらの配慮が一斉に花開いたおかげだと思います。YouTubeでの配信のオーケストラの音の素晴らしいこと、出雲の国の、神々に囲まれている聖地のパワーも出ているのでしょうか?
大阪から駆けつけたCさんも大喜びです。レコードからの音源ばかりではなく、4トラック、2トラック、DAT、そして38/2トラの音も聴き楽しめました。位置調整と後ろの壁のの自然な響きで、どのようなソースを聴いても楽しめました。アルコールが入ってからは、私もCさんも好きな演歌も次々と再生されて、ユニコーンの万能さも堪能しました。本当に楽しい夜でした。
by TANNOY-GRF
| 2022-09-04 14:40
| 行ったり
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Comments(10)
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TANNOY-GRF at 2022-09-04 14:50
リニューアルされたセンスある部屋のユニコーン嬢は、輝くようなきれいな側面を見せていました。そしてほんの1ミリほどの違いで、部屋がコンサートホールに変わります。
後ろの壁面の変化、この部屋に合わせてオーダーされた専用ラック、中央にフローティングされておかれたSD05と有機ELのテレビ画面が一体になっていました。本当に素敵な部屋です。
大阪と出雲の不動産の価格の違いと入念な事前調査で、素晴らしい物件を見つけられましたね。
後ろの壁面の変化、この部屋に合わせてオーダーされた専用ラック、中央にフローティングされておかれたSD05と有機ELのテレビ画面が一体になっていました。本当に素敵な部屋です。
大阪と出雲の不動産の価格の違いと入念な事前調査で、素晴らしい物件を見つけられましたね。
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椀方
at 2022-09-04 21:28
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漸く移住後の構想が結実したのもGRFさんのブログを参考に進めてきたおかげです。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
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TANNOY-GRF at 2022-09-04 22:19
椀方さん 最後の前後の調整のひと蹴りで変わりましたね。左右のエネルギーの大きさを整えたものです。HRSのような円筒形の無指向性のSPだと左右のSPのエネルギーを揃えないとなりません。
そして、お互いが打ち消し合うポイントと、音が合いポイントは、隣り合わせです。家でも、Hさんも位置合わせで全く違う響きになります。会うポイントとズレたポイントは隣り合わせなのですね。
そして、お互いが打ち消し合うポイントと、音が合いポイントは、隣り合わせです。家でも、Hさんも位置合わせで全く違う響きになります。会うポイントとズレたポイントは隣り合わせなのですね。
写真がすごくきれいなんですけど、カメラはリコーGR3ですか?携帯にwifiで送れるコンデジ、何が良いか迷ってます。
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TANNOY-GRF at 2022-09-05 18:42
写真は、椀方さんの携帯をお借りして撮りました。アングルの違いで、違う雰囲気で撮れましたね。
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椀方
at 2022-09-05 19:54
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shanshanさん、iPhoneSE(第2世代)の単眼カメラですが、GRFさんの腕と掲載前の写真トリミング?が効いているのでは?
しかし、本当にGRで撮ったように見えますね?
スマホにWi-Fiで写真データ送るなら、Wi-Fi付きSDカード使えば今お使いのデジカメでも大丈夫ですよ?
https://sakidori.co/article/32248
しかし、本当にGRで撮ったように見えますね?
スマホにWi-Fiで写真データ送るなら、Wi-Fi付きSDカード使えば今お使いのデジカメでも大丈夫ですよ?
https://sakidori.co/article/32248
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je5cxr at 2022-09-05 21:43
もうこの画像からいい音楽が伝わってきます。
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TANNOY-GRF at 2022-09-05 23:12
翌朝、ブロムシュテット・エルプフィルハーモニーの無観客でのシューベルトのグレートを聞きました。演奏も的確な画面もあり、音が一体化していました。これだけ生演奏の雰囲気が出れば、都会に住まなくても十分ですね!
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椀方
at 2022-09-06 08:09
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>これだけ生演奏の雰囲気が出れば、都会に住まなくても十分ですね!
いやいや!尚更生コンサート渇望症になりますよ!
いやいや!尚更生コンサート渇望症になりますよ!
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TANNOY-GRF at 2022-09-06 09:11
椀方さん 私は東京に住んでいますが、コロナ以降演奏会に行っていません。配信で聴けるクラスの演奏会は開かれてないからです。アマチュアの演奏会に通われていた椀方さんとはそこが違いますね。
私自身は、これだけ演奏会の雰囲気が出るようになれば、レコードやCDの名演奏を聞くだけで、精一杯ですから。
私自身は、これだけ演奏会の雰囲気が出るようになれば、レコードやCDの名演奏を聞くだけで、精一杯ですから。