2022年 12月 08日
夜香さんのご感想 CDが良い音じゃないとね |
日曜日はGRFさんのオタクに訪問させていただいた。
9月の中旬にModel1の量産試作機を持ち込んで、EMMやDSオーディオのフォノイコと比較試聴させていただき、多くの気づきをいただいた。量産機が完成したら再試聴のお願いをしていただので、今回はその約束を履行させていただいた。
量産試作機と量産機の違いは別の機会に説明させていただくが、今回のGRF邸もとてもエキサイティングで楽しいイベント満載であった。今回の装置は前回と大きくは変わらず、しかし、サブウーファを駆動するSD-05の下にPSD製のマグネットフローティングボードがあらたに挿入されていた。
いきなり、フォノイコの試聴などという無粋なことをGRFさんはしない。まずは、今、GRFのある部屋で鳴っている音をしっかりと認識することから儀式は始まる。音出しはCD。トランスポートはEMMでDACはMolamola。
最初のクラシックが静かに流れはじめる。前回ももちろん良い音だったので、今回が激変しているわけではないようだが、しかし、何か低域の漂い方と量感が前回と違う。サブウーダーのレベルをあげたような差ではないが、包み込む感じとか部屋に低音が沁みてくる感じが前回よりもさらに深みを増している。このあたりの低域の漂い方の違いがSD-05にPSDボードを導入した効果らしい。
そのあたりの効用を確認してほしいとオルガン曲とソプラノのCDや、オルガン単独などのCDがかかる。そういう低音がしっかりと入ったコンテンツだと、前回との違いが良くわかる。
驚いたのはオフセットして聴かせてもらった、ヤンソンス指揮のラヴェル。右側にオフセットして聴かせてもらったのだけど、まさにホールを右側から睥睨するかのような景色が見えた。GRFのある部屋の大きな美徳の一つに数えられるのは、オフセットした位置で聴いても音場が動かないこと。例えば、左右に別の楽器があり、中央にボーカルがあったとすると、センターで聴いても、右で聴いても左で聴いても音場が変わらない。良く調整された装置であっても、なかなかこうはいかない。右で聴けば左しか聴こえない、ないしは右しか聴こえないになるのが普通なんだけど、音場感が変わらないというのは凄いことだと思う。
センターにあるカーテンの開け閉めでの音と音場の変化や、後方のスピーカのわずかな位置の違いによる全体の音場の変化など、GRFさんが日々ブログに書いていることを再現してもらった。これは聴かなきゃわからんわなと強く思った次第。
一番の驚きは、センターの奥の床に、これまで使っていたフローティングボードを置いた時の変化。それまで部屋全体に綺麗に広がっていた音場が、一気にセンターに集まる。ボードが振動板となり、音を反射するがゆえの変化と思うが、想像をはるかにこえる違いであった。もちろん、この変化を好ましく思う聞き方や音楽はあるだろう。しかし、音場情報のたっぷりと入ったクラシックに関しては、そういうエフェクトはない方が良いと私でも思った。
CDしか聴かない人にはわからない話だと思うが、CDとLPを一緒にやっている人の中には、少なからずLPの方が良い音だと断言する人がいる。もちろん、そういう装置もあるだろうし、そういうマニア宅を訪問したことも数かぎりない。だが、CDもLPも等質に見事な音を出している方も多くはないが存在し、GRFさんはその筆頭だと思う。存分なコストをかけて、同じような愛情を注ぎチューニングしていけば、CD再生がLP再生に劣るということは私はないと思っている。楽しいかどうかというのとは違う話で、しっかり愛を注いで育まれた装置ならば、CDは素晴らしい音楽を奏でてくれる。
GRF邸でいつも思うのはそのことである。今のGRFさんのアナログシステムも存分なコストをかけ、愛情を注がれたものであるが、そのサウンドはむしろCDやSACDと同様、聴こえてくるのはメディアの音ではなく、そこに刻まれた音楽である。アナログらしさという、いわく言い難しの呪いのようなものに囚われていると、ただただアナログの迷路にハマり、その呪縛から抜け出せなくなる。ただ、そうした世界には独特の魅力があり、簡単に否定できるものではない。別に趣味なんだからLPだけ聴いていても良いわけで。
私はCD、SACD再生に関しては現在のエソテリックの05Xペア、マッキントッシュのMCT450で満足しており、これらのプレーヤで不満のないCD、SACD再生ができる。だから安心してアナログ再生に情熱を注いでいるわけで、装置全体のチューニングにLP再生を使わないのはルボックスのB226を最初に導入したときから変わらない。
アナログ再生は可変するパラメータが多すぎて、装置全体の調整用にとしては、とても使いにくい。可変するパラメータが少なく、再現性の高いCD再生の方がずっと使いやすい。OPPOの頃はそうやってCD、SACDで追い込んだ先でアナログを再生すると、アナログの方が良い音だったことが多かったけど、エソやマッキントッシュになってからは、そういうことも少なくなり、どちらも楽しく聴くことができる。
せっかくあるCDコレクション、良い音で楽しんだ方が絶対に幸せだと私は思う。
光フォノアンプの試聴でお邪魔したはずが、CD再生の大切さにあらためて気付かされた。
夜香さんの光カートリッジ用のEQを聞く前に、フローティングボードで進化したCDの音も聞いていただきました。奥行きや高さも広がり、ずいぶん印象が違ってきましたね。単なるオーディオではなく、音楽を聴くオーディオへと進化してきたようです。
by TANNOY-GRF
| 2022-12-08 07:24
| 来たり
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