2025年 05月 25日
Y2さんとお友達のTDさんが |
GRFさん
最後にお願いして見聴きさせていただいたN響の映像、我が方での音よりずっと良かったのでショックです。いろいろ研究してみます。今回も前回に続き、そして前回以上に得るものが多かった訪問でした。これからもよろしくお願いします。
先日は久しぶりに音をじっくりと聴かせていただき、ありがとうございました。変わらないところは、しっかりと変わっていないし、新しいことからの発見もありました。
和室の音がよりしっかりしたものになりました。これはダイヤモンドツィーターによるところが大きいのでしょう。このツィーターの低音を聴かせる効果は、はっきりと分かります。ただし、単に低音をブーストすると言ったものではありません。マーラーなど音楽のstructure が見える感じです。音楽の構造が見えると言っても良いのですが、すると楽曲の構造と取られかねないので、音楽の骨格と言いました。
大きな部屋では前からこの様なstructureが、それも精緻に感じられました。それは今回も変わりません。この大きな部屋での、音が部屋の中を渦を巻いたりしながら流れて行く感覚は独特です。他では経験した事がありません。しかし、和室でも音楽の伽藍が見える気がするのは発見でした。アラウのベートーヴェン・コンチェルトのピアノの音が、クリスタルの様に転がりましたが、これはツィーターのコンデンサのせいでしょうか。
Y2


GRFさん
先日はありがとうございました。今回はほぼ同時期にY2さんとOさんからGRFさんを紹介しますとお声掛け頂きました。またSTさんやチューバホーンさんからも、とにかく凄いよという話を以前から聞かされていて、念願かなってお訪ねさせて頂くことになりました。
ご訪問させて頂く前に関心事がありました。GRFさんは、どのようにオーディオの趣味と音楽鑑賞を両立させているのか?ということです。私の場合はオーディオいじりを行うとき、音楽に没頭することは難しいです。両者は二律背反する部分を持つようで、周囲の人達もそのように考えている人が多いです。これでは本末転倒なのですが、オーディオ趣味を行うことで知った素晴らしい音楽があることも事実ですから文句ばかりも言えません。GRFさんのブログを拝読するとオーディオをライフワークとされると同時に熱心な音楽愛好家です。
部屋に通され音楽が鳴り始めるとこの疑問はまるで何もなかったように消え去ってしまいました。
最初に通されたのは和室です。そこで展開される柔和な音に魅入られました。ミューザ川崎シンフォニーホールの3階席を意識されているということですが、とにかく心地よい。これでは感想にならないと思うのですが、話題のダイアモンドツィーターを含めてオーディオ環境を分析的に考えることは無粋なことに思える心地よさでした。思わず、これで十分ではないですか?とバカな問いかけをしてしまったのですが、GRFさんも私のピント外れの発言に合わせてくれたようで少し安心しました。
心地よい部屋で素晴らしい音楽を堪能する。音楽好きなオーディオ愛好家の桃源郷のような状況です。私も含めてこの状態を目指している人は数多くいるはずです。
繰り返しますが、和室のオーディオ環境で聴いた音楽は素晴らしいものでした。
次に「問題の大きな部屋」です。移動する前に、和室はこの部屋のミニチュア、今度はミューザのかぶり付きとのご説明を頂きました。和室よりも少しスケール感が出ているのだろう、それにしても和室の響きは心地よかったと思いつつ余韻を楽しみながら入室しました。
「問題の大きな部屋」には、お名前の由来のタンノイGRFとは別に、和室よりも大きな、ダブルのジャーマンフィジックスのDDDのユニットとウーファーが前方に一組。後方には、ひとまわり大きなウーファーが1組と、GRFの上には、今一組みのDDDユニットが置かれ、4台のDDDユニットが搭載されていて、その風景はまるで静かにそこに佇む動物たちのようでした。何かが潜んでいるような気配がしたかどうかまで憶えていませんが、尋常ではないものを感じたことは間違いがありません。
そして、そこで再生された音楽は私がこれまで聴いたことがある再生音楽とは全く異なるものでした。
聴くという経験ではありませんが、同じ感覚を持ったことがあります。光学ホログラフィーです。以前に空中を飛翔する粒子群がホログラフィーの技術を用いて写真に再現されたのを見たことがあります。「問題の大きな部屋」で行われた出来事は、CD盤に記録された情報をその場にリアルな3次元音場を含めて展開したものという印象を持ちました。(音響ホログラフィーもおこなわれているようですが音の積分のようです。瞬時の音場の詳細を再現するというものではないと思います。)
そんなことを考えていたら、「問題の大きな部屋」は実験室で、動物のように見えたオーディオ機器が今度は実験装置に思えてきました。2セットのスピーカシステムには異なる音響特性があり、ケーブル長も違います。GRFさんが仰るように音速といえども、物理的なディレイが発生します。通常の2台のステレオスピーカとは異なる音の干渉を意図的に発生させているということでしょうか。
GRFさんにカルロ・ベルゴンツィ(この人はこれまで存じませんでした)は左奥、その80cm右横にはフィッシャー・ディスカウと指示され、そこまで歩いて行くと確かに2人がその場で歌っています。
光学の干渉実験では精密光学定盤に定まった間隔でレンズ、ミラー、波長板が配置され、レーザの光路長も計算した上でレーザ光がデリバリーされます。オーディオルームは実際には実験室ではありませんのでそんなことは出来ないしスピーカ内部の個々のパーツ、スピーカが自由に取り出せるわけもありません。
パラメータの数が多い上にテキストブックがあるわけでもありません。ホログラフィーとの比較は私の勝手な思い付きですが、両者とも電磁波です。目指すのはミューザ川崎の音ということですが、コンサートホールの響きが心象として明確に投影されているということでしょう。あとは、ご自身のご経験と耳を頼りに4台のスピーカ位置の調整を繰り返し、繰り返し行う。部屋のあらゆる音調も試されたかもしれない。人間の聴感特性も考慮されたのかも知れない。その試行錯誤の繰り返しは想像し難いものがあります。
「ここに至るのに10年を掛かりました。」「このようなことをやっているのはおそらく私一人でしょう。」
本当に素晴らしいものをお聴かせて頂きましてありがとうございました。音楽の感想、オーディオの感想から逸脱しましたが、私が率直に感じたことを書かせて頂きました。
最後に映像の部屋もご案内頂きました。正直に書きますが、その時は既に私の頭の中は飽和状態でした。大画面テレビを見ながら、特に「問題の大きな部屋」の中で起こった出来事を頭の中で整理するので精一杯でした。
宜しければ再びお訪ねさせてください。
TD
Y2さん 今回はTDさんをご紹介いただきありがとうございました。TDさんは、物理のご専門の立場から、大きな部屋の音の感想をお送りいただけました。私も、ご専門家に色々お尋ねしたいことがあります。またぜひお越しください。今回は、ご感想をありがとうございました。
by TANNOY-GRF
| 2025-05-25 11:11
| 来たり
|
Comments(1)
Y2さんのご紹介で来られたTDさんは、御茶ノ水のオーディオの会を通じて、御常連の Oさんや STさんともお知り合いでした。その方からもうちの音のことをお聞きお呼びだったのですが、聴くと知るとは大違いで、実際にお聞きになられて、初めて大きな部屋での実験が、他の人とは違うアプローチだと気づかれました。あの音をお聞きになられて、同じシステムを導入されたHさんの別邸や、ロンドンの のびーさん、そしてご近所のパグ太郎さんは、うちの音の特殊性にお気づきですが、通常の2チャンネルのステレオ装置の範疇ではない音が、大きな部屋ではしています。
その音が既存の2チャンネルステレオの範囲ではないと、お気づきになられたのは、ほんの少しの方々だけです。4チャンネルや 5.1チャンネルの実験を実際にされている方だけでしょう。マルチチャンネルはオーディオファンはほとんどされていませんね。私の家は、マルチではありません。音源は通常のステレオ音源だし、アンプもサブウーファーを除き、1組だけで展開しています。現在の様なマルチモノ録音を調整卓上で、ステレオにした録音ではなく、実際のコンサートホールや教会での残響が正確に収録されている音源では、先日聞いていただいた様な空間と定位が出現します。
その音を出すには、正確なSPの位置調整が必要です。いわゆるトントン・コツコツは、その調整を表現した言葉です。左右のSPがお互いに相手の音を打ち消さない点が見つかると、録音現場の音場が出現します。60年以上も前に、カーネギーホールのハリー・ベラフォンテの録音を聞いて感激した少年時の夢をいまだに追い続けているのでしょう。私の家の音が実際どの様になっているか、お聞きにならなければわかりませんが、家の音の特殊性に気づかれたのは、結果的には10名にお一人ぐらいでした。
人間の耳は聞いてきた音を学習して、次に備えます。聞いたことのない音は、聞こえていても気がつかないのです。耳には目蓋はありません。安全のために、自己防衛のために耳は、音を寸時に聴き分けるのです。微小な音を扱う耳と聴覚の超高性能の仕組み、アンプやマイクの性能を遥かに超えた精緻なメカニズムこそが聴覚の不思議だし、音楽の奇跡です。
その音が既存の2チャンネルステレオの範囲ではないと、お気づきになられたのは、ほんの少しの方々だけです。4チャンネルや 5.1チャンネルの実験を実際にされている方だけでしょう。マルチチャンネルはオーディオファンはほとんどされていませんね。私の家は、マルチではありません。音源は通常のステレオ音源だし、アンプもサブウーファーを除き、1組だけで展開しています。現在の様なマルチモノ録音を調整卓上で、ステレオにした録音ではなく、実際のコンサートホールや教会での残響が正確に収録されている音源では、先日聞いていただいた様な空間と定位が出現します。
その音を出すには、正確なSPの位置調整が必要です。いわゆるトントン・コツコツは、その調整を表現した言葉です。左右のSPがお互いに相手の音を打ち消さない点が見つかると、録音現場の音場が出現します。60年以上も前に、カーネギーホールのハリー・ベラフォンテの録音を聞いて感激した少年時の夢をいまだに追い続けているのでしょう。私の家の音が実際どの様になっているか、お聞きにならなければわかりませんが、家の音の特殊性に気づかれたのは、結果的には10名にお一人ぐらいでした。
人間の耳は聞いてきた音を学習して、次に備えます。聞いたことのない音は、聞こえていても気がつかないのです。耳には目蓋はありません。安全のために、自己防衛のために耳は、音を寸時に聴き分けるのです。微小な音を扱う耳と聴覚の超高性能の仕組み、アンプやマイクの性能を遥かに超えた精緻なメカニズムこそが聴覚の不思議だし、音楽の奇跡です。




