2025年 10月 09日
京都人さんがこられました ② 大きな部屋の音 |
さて、今度は大きな部屋の装置です。こちらは初段管を替えてまだエージングが進んでいません。メーカーも違いますし、製造時期も違いますから音は違うのは当然なのですが、音色とか、バランスとかの違いではなく、音場の構成が違っています。音が和室の音の様に、柔らかさがまだ出ていないのです。
和室のバランスの良い音を聞いた後では、エージングが進んでいない音は、すぐにわかってしまいます。最初から演奏会場の響きではなく、「オーディオの音」を感じられたそうです。やはり、このままではダメなので、すぐに元の真空管に戻しました。
プリ管を交換されたらフッとSPの存在が意識から消え去りましたので、あとはもうひたすら演奏に浸る事が出来ましたので安心しました。それからはもう完全に生演奏会場そのもので、コンサートホールの席に座っている感覚と全く差がありません。
もちろん音場の話だけではなく音そのものの質感も素晴らしく、アラウや越路吹雪が目の前で演じていました。自分がホールのどの位置にいて、演奏者がどこで演じているのか?までも感じられるのが素晴らしいですね。 【 大阪のST 】
真空管を戻したらいつもの音に戻りました。その後は楽しんでいただけましたが、いかに今のこの音が微妙なバランスの上に成り立っているかを再認識しました。
・ 0.01ミリ単位のSPの微妙な位置調整
・ SPケーブルの種類と長さと端子の違い
・ SPケーブルの方向性
・ アンプ類のフローティングボードの調整
・ 真空管の選定と交換時期
・ パワーアンプの適切なバイアス調整
・ インターコネクトケーブルの選定と正しい使い方
・ プリアンプとDACのエージングと電源の持続性
・ 部屋の吸音とカーテンなどの調整
・ 部屋を密閉しない
・ 快適な温度調整
この中で、常に管理をしているのは、毎日必ず合わせる微妙なSPの間隔調整とケーブルの接続(接触)状況のチェックです。これらがすこしでも通常の状態でないと、今回の様な音楽の空間が歪んだり、SPの存在を感じる音になってしまいます。それと、部屋の空調ですね。
デジタル系を最小限に抑えるのも、安定した音を保つには大切な様です。レコードの初版盤、CDのロットの差、再発品のマスターリングの違い、その微妙な差は、ストリーミングでは得られません。デジタルの場合も、規格が音の差をつくるのではなく、やはり作り手がこだわった音質を聞きたいです。
先ほど和室でお聴かせした音をこちらで聞いてみます。違いは、最低音の帯域です。ユニコーンはバックロードホーンですから、45Hz以下の低音は構造上出ていません。こちらの部屋ではその帯域だけを鳴らすウーファーに、低域に強いSD05で最低域まで鳴らしています。オルガン曲を掛けると、静かに部屋が震えてきます。コンサートホールで深く静かに鳴り響く最低音楽器の音の有無が、コンサートホールの音の再現には欠かせません。
和室の最低音は、あたかも最低域がなっているような自然な音の響きが、私たちの脳に聞かせているのですが、こちらの大きな部屋では、20Hz~50Hzの通常は聴けない音域を再現するのです。サンサーンスの交響曲第3番の二楽章など、オーディオの醍醐味でしょう。
「大きな部屋」と「和室のユニコーン」の最大の差は、周波数帯域と音量と三次元の音の定位です。「和室のユニコーン」はダイヤモンドツィーターが来てから、音の質が向上して実在感が増しました。普通に聞いてるのではこれで十分だと思います。新しいCDを買った時などは、ほとんどこちらの装置で聴いています。
「大きな部屋」では、演奏会場にいる様な音ですから、存在感と実在感が全く違います。前方のSPと後方の50Hz以下用のウーファーと、前方のTroubadour 80と並列で鳴らされているGRFの上に置いているTroubadour 40の間の空間がステージになります。そのステージ上に展開する各楽器群は、どの位置から聞いても定位が動きません。それどころか、その前後にSPに挟まれたSPで構成されるステージ上の楽器や歌手の歌がステージのどこで歌っているかさえわかります。
三次元の立体音ですね。この音は、聴かれない方にはいくら話しても分かっていただけないでしょう。聴かれれば、一目瞭然なのですが。しかし、ここに一つ条件がある様です。今までコンサートホールで、オーケストラのサウンドを聴かれた経験がある方です。
和室では、後ろの壁や畳の床が消えて、あたかもホールの二階からステージを見下ろす様に音場が広がりますが、大きな部屋では、指揮者後方上空にある、録音マイクのあたりからステージを見下ろしている感覚になります。それはクラシックのCDばかりではなく、実況録音盤の歌謡曲、森進一や八代亜紀のリサイタル録音でも、ステージ上の楽器や観客の声や拍手が、立体的に聞こえるのです。日生劇場の越路吹雪は、ステージ上のコーちゃんが見れる様です。
光カートリッジと、リニアトラッキングアーム、そして、ターンテーブルを駆動するモーターのが、いかにレコードの音を変えたか、じっくりと聞きに来て欲しいです。
あっという間に時間はきます。五時を回って、新幹線の時間があるSTさんを地下鉄の新高円寺駅まで送って、戻ってから京都人さんとまたCDを聴きました。ペーター・シュライアーとリヒテルの冬の旅のCDを掛けました。幾分、緊張気味のシュライアーの声が、ステージ上のどこにいて、またどちらを向いて歌っているかもわかります。淡々とピアノを弾いているリヒターの細かなアシストも、その会場で、同一空間で共有している様になります。
京都人さんのリクエストで、11曲目の「春の夢」を聴きます。ためらう様なピアノが、真冬の青年の心に美しかったあの春の日の情景を思い出させます。この曲を聞くのは久しぶりです。何十年も聴かなくても、歌詞は次々と溢れて出てきます。若いころのなんでも吸収出来た頃に繰り返し聴いていた曲だからでしょう。京都人さんも同じ様な思い出がおありになられるのでしょう。オーディオを離れてシューベルトの荒凉とした冬の景色を見られるのも、オーディオの醍醐味ですね。
明日の会合での準備をしなければならない京都人さんをJRの高円寺駅まで送り届けた帰り道、一緒に冬の旅のコンサートに出かけられてよかったと思いました。私たちのオーディオは、音楽の世界に入るための手段であり、そのためのハイフィデリティなのです。京都人さん、また来年をお待ちしています。
Commented by 京都人 at 2025-10-11 19:12
そして、いよいよ本丸である大きな部屋に移動してきました。
こちらは、空間の余裕が違うこともあり、生のホールの響きの感じが生々しく再現されています。
前回訪問した時(1年前)と比べると、空間の前後の提示がさらに明瞭になっているように感じます。
これは、後方にあるDDDユニット、サブウーファの位置調整が進んだためかもしれません。
生のホールでは、非常に豊富な群位相成分が存在しますが、通常のステレオ再生では、それらが十分に再現されていないことが多く、ホールにワープした感じがなかなか得られないのです。
ところが、ここではそのワープ感が半端ではなく、眼をつむればまさにホールの座席に座って聴いているような感覚をもたらすのです。
同行したTSさんも、
「これは生のコンサートホールそのものですね」
と興奮気味
全くその通りだと感じました。
新品の真空管の少し未熟成的な部分もありましたが、それはこなれた真空管に替えることで見事に解消。
あとは、かけられるソースの内容そのものにただ浸るだけの時間が過ぎていきました。
アナログ盤の再生では、リニアトラッキングアームの恩恵だと思いますが、
位相情報が非常に正確に再現されるので、まるでよくできたデジタル録音で聴かれる左右の奥深くまでの空間情報をそのまま聴いているような錯覚に陥ります。
アナログ再生によく聴かれる空間の制約感がほとんどありません。
伸び伸びと前後左右に自然に拡がってその中に林立する音像の立体感が素晴らしいです。
今まであまり聴いてこなかった古い歌謡曲のライブ録音の拍手を含む生々しさにも驚かされました。
最後にシュライヤーが歌うシューベルトの冬の旅
高校時代の音楽の試験の課題曲がこの第一曲目で、高音から始まる歌いだしに苦労したことを思い出しました。
ピアニシモからフォルテシモまで幅広いダイナミックレンジをすんなり歌ってしまうシュライヤーのパフォーマンスにただただ、「シュライヤー上手いなあ」と感じ入っていました。
翌日の学会の準備がなければ、もっともっと聴き続けていたい気持ちでしたが、翌日朝早くからの学会開始に備えて、名残惜しく部屋を後にしました。
昨年はDiamond Tweeterの衝撃を受け、
今年はスピーカー配置の妙に感銘を受け
訪問するたびに学ぶところが多いと感じています。
これからもちょくちょく聴かせていただければ幸いです。
by TANNOY-GRF
| 2025-10-09 07:12
| 来たり
|
Comments(2)
そして、いよいよ本丸である大きな部屋に移動してきました。
こちらは、空間の余裕が違うこともあり、生のホールの響きの感じが生々しく再現されています。
前回訪問した時(1年前)と比べると、空間の前後の提示がさらに明瞭になっているように感じます。
これは、後方にあるDDDユニット、サブウーファの位置調整が進んだためかもしれません。
生のホールでは、非常に豊富な群位相成分が存在しますが、通常のステレオ再生では、それらが十分に再現されていないことが多く、ホールにワープした感じがなかなか得られないのです。
ところが、ここではそのワープ感が半端ではなく、眼をつむればまさにホールの座席に座って聴いているような感覚をもたらすのです。
同行したTSさんも、
「これは生のコンサートホールそのものですね」
と興奮気味
全くその通りだと感じました。
新品の真空管の少し未熟成的な部分もありましたが、それはこなれた真空管に替えることで見事に解消。
あとは、かけられるソースの内容そのものにただ浸るだけの時間が過ぎていきました。
アナログ盤の再生では、
リニアトラッキングアームの恩恵だと思いますが、
位相情報が非常に正確に再現されるので、まるでよくできたデジタル録音で聴かれる左右の奥深くまでの空間情報をそのまま聴いているような錯覚に陥ります。
アナログ再生によく聴かれる空間の制約感がほとんどありません。
伸び伸びと前後左右に自然に拡がってその中に林立する音像の立体感が素晴らしいです。
今まであまり聴いてこなかった古い歌謡曲のライブ録音の拍手を含む生々しさにも驚かされました。
最後にシュライヤーが歌うシューベルトの冬の旅
高校時代の音楽の試験の課題曲がこの第一曲目で、高音から始まる歌いだしに苦労したことを思い出しました。
ピアニシモからフォルテシモまで幅広いダイナミックレンジをすんなり歌ってしまうシュライヤーのパフォーマンスにただただ、「シュライヤー上手いなあ」と感じ入っていました。
翌日の学会の準備がなければ、もっともっと聴き続けていたい気持ちでしたが、翌日朝早くからの学会開始に備えて、名残惜しく部屋を後にしました。
昨年はDiamond Tweeterの衝撃を受け、
今年はスピーカー配置の妙に感銘を受け
訪問するたびに学ぶところが多いと感じています。
これからもちょくちょく聴かせていただければ幸いです。
こちらは、空間の余裕が違うこともあり、生のホールの響きの感じが生々しく再現されています。
前回訪問した時(1年前)と比べると、空間の前後の提示がさらに明瞭になっているように感じます。
これは、後方にあるDDDユニット、サブウーファの位置調整が進んだためかもしれません。
生のホールでは、非常に豊富な群位相成分が存在しますが、通常のステレオ再生では、それらが十分に再現されていないことが多く、ホールにワープした感じがなかなか得られないのです。
ところが、ここではそのワープ感が半端ではなく、眼をつむればまさにホールの座席に座って聴いているような感覚をもたらすのです。
同行したTSさんも、
「これは生のコンサートホールそのものですね」
と興奮気味
全くその通りだと感じました。
新品の真空管の少し未熟成的な部分もありましたが、それはこなれた真空管に替えることで見事に解消。
あとは、かけられるソースの内容そのものにただ浸るだけの時間が過ぎていきました。
アナログ盤の再生では、
リニアトラッキングアームの恩恵だと思いますが、
位相情報が非常に正確に再現されるので、まるでよくできたデジタル録音で聴かれる左右の奥深くまでの空間情報をそのまま聴いているような錯覚に陥ります。
アナログ再生によく聴かれる空間の制約感がほとんどありません。
伸び伸びと前後左右に自然に拡がってその中に林立する音像の立体感が素晴らしいです。
今まであまり聴いてこなかった古い歌謡曲のライブ録音の拍手を含む生々しさにも驚かされました。
最後にシュライヤーが歌うシューベルトの冬の旅
高校時代の音楽の試験の課題曲がこの第一曲目で、高音から始まる歌いだしに苦労したことを思い出しました。
ピアニシモからフォルテシモまで幅広いダイナミックレンジをすんなり歌ってしまうシュライヤーのパフォーマンスにただただ、「シュライヤー上手いなあ」と感じ入っていました。
翌日の学会の準備がなければ、もっともっと聴き続けていたい気持ちでしたが、翌日朝早くからの学会開始に備えて、名残惜しく部屋を後にしました。
昨年はDiamond Tweeterの衝撃を受け、
今年はスピーカー配置の妙に感銘を受け
訪問するたびに学ぶところが多いと感じています。
これからもちょくちょく聴かせていただければ幸いです。
京都人さん 今年もありがとうございました。毎年牛歩ですが、少しずつは前に進んでいる様です。今年の大きな部屋は、装置自身は何も変わっていません。調整だけです。それでもまだまだ先はありそうですね。
様々な実験は、まだまだあるのですが、老人力が増してきてなかなか捗りません。
様々な実験は、まだまだあるのですが、老人力が増してきてなかなか捗りません。




