2007年 11月 14日
タンノイの歴史 |
今から、60年前の1947年に、タンノイのデュアルコンセントリック方式のモニターブラックと呼ばれる同軸型2ウェイスピーカーが生まれました。勿論、その頃はSPレコードの時代です。6年後の1953年に、ネットワークを独立させたモニターシルバーと呼ばれるユニットになり、オートグラフと呼ばれる専用キャビネットと一緒に発売されました。まだSPの時代です。二年後の1955年には、GRFと呼ばれるコーナー型のキャビネットも発売されました。1957年には12インチのシルバーも出てきました。
1958年になり、ステレオ時代を迎えるにあたり、モニターレッドシリーズにアップグレードされました。性能をました真空管時代にマッチするように、最大許容入力も従来の25Wから50Wに増大され、能率も2db上がった94デシベルになりました。その頃の型番は15" Monitor Red LSU/HF/15-L と呼ばれ、最後のLはローインピーダンスを意味しています。15オームなのに何故ローインピーダンスかと云えば、その頃の真空管アンプは、まだハイインピーダンス時代でした。レッドモニターは、1967年まで続き、真空管黄金時代を過ごします。1960年代の録音には、モニターレッドが一番合うと呼ばれるている所以です。

トランジスターアンプの出現は、本当の意味のローインピーダンスの8オームのモニターゴールドと呼ばれるユニットにアップグレードされました。1967年のことです。デュアルコンセントリックスピーカーが開発されてから20年後のことでした。それでも、いまから40年もの前の話です。タンノイと同じ歳に生まれた団塊と呼ばれる私たちは、生まれてから小学生入学までが、モニターブラッック、小学生時代が、モニターシルバー、10代がモニターレッドで、二十歳のときにモニターゴールドが出現したことになります。
1974年になって、コーン紙製造工場を火事で失ったタンノイ社は、西ドイツのコーン紙を購入して強度不足をリブで補強して重くしたHPDシリーズに変わりました。HPDとはハイパフォーマンスドライバーの略です。能率は少し下がり92デシベルで、その分低音方向にワイドレンジかされました。それが、HPD特有の音の重さになっています。
そのHPDシリーズになってから、日本ではティアックが輸入代理店となり大々的な展開が始まりました。アーデン、バークレイ、チェビオット、デーボン、イートンの五種類のキャビネットが出され、同時にタンノイ社の承認をもらって、オートグラフとGRFのキャビネットの再生を試みました。本格的にタンノイ社の監修を受けたキャビネットは、HPDの特性に合わせ、しっかりとしたキャビネットに入れられ、オリジナルより幾分重い音がするようです。しかし、30年以上経った国産のキャビネットは、充分に枯れていい音を出し始めているようです。
タンノイ社の名前の由来は、マグネットの材質、Tantalum-Lead Alloyから来ています。1926年にGuy R. Fountain氏がタンノイ社を設立したときに命名されました。その意味から、世界的なコバルト不足によりアルニコのマグネットが手に入りにくくなり、フェライトタイプ(Anisotropic Barium Ferrite magnets)に代わってしまってからのユニットには、私自身余り魅力を感じられません。後年、アルニコタイプに戻されましたが、エッジの材質やコーン紙の自体の音色、ツイーターとのバランス等で昔の音は戻っては来ません。申し訳ないのですが現在のタンノイ社のSPを使う理由が余り見つけられないからです。私自身は、モニターゴールドが最適だと感じています。HPDのコーン紙を、モニターゴールドのコーン紙に換えるのは、ネットワークの音色の問題が残りますが、エッジを国産の他の材質に換えるよりはるかに懸命な方法だと言えましょう。

モニターシルバーの時代は、モノラルでしたから、ステレオペアーとしては揃っていません。ステレオを想定していないモノラルの時代ですから、ステレオペアーにすると微妙に左右では異なっています。その意味では、モニターレッドの時代からステレオを意識した造りになってきました。コーナー型のキャビネットは、モノラルで広がりを得るために設計されています。ステレオ時代になってから、レキュタンギュラー(四角)型のキャビネットが普及しはじめました。ランカスターと呼ばれる、12インチ向けのバスレフ箱と15インチ向けの密閉型とレキュタンギュラーヨークと呼ばれる15インチ向けのバスレフ型です。コーナーヨークも左右にバスレフスリットを持つ形です。
バスレフ型のキャビネットは、ポートから音が抜けるせいか柔らかですが、密閉型のキャビネット・IIILZやチャトワース・そしてランカスターはキャビネットの材質を薄く造り、響かせて使う音づくりがされています。しっかりしたパワーのあるアンプが要求されますが、少し硬質な響きも、キャビネットが振動されて出てくる響きには納得されます。この手のキャビネットは、どうしてもオリジナルのキャビネットが必要です。反面、バックロードがかかるホーン型は、構造上からくる音の性質上、それほど、オリジナルに固執する費用は無いようです。良く作られた国産キャビネットやレプリカでも、バックロード特有の響きが再現されています。
私自身のGRFは、国産の物です。造りから行って、TEAC社が製造を依頼していた進工舎製だと思われます。しっかりした造りと、見事な塗装は、30年以上経った今でも輝きを失っていません。その長き時間を共有して来たエンクロージャーには、特別な感慨も生まれてきます。自分の成長に合わせて苦労を分かち合ってきたキャビネットを愛情を持って30年、40年という長き時間を共有していくことこそ、オーディオの喜びでもあるからです。
<掲載の写真は"The Monitor GOLD"からです>
1958年になり、ステレオ時代を迎えるにあたり、モニターレッドシリーズにアップグレードされました。性能をました真空管時代にマッチするように、最大許容入力も従来の25Wから50Wに増大され、能率も2db上がった94デシベルになりました。その頃の型番は15" Monitor Red LSU/HF/15-L と呼ばれ、最後のLはローインピーダンスを意味しています。15オームなのに何故ローインピーダンスかと云えば、その頃の真空管アンプは、まだハイインピーダンス時代でした。レッドモニターは、1967年まで続き、真空管黄金時代を過ごします。1960年代の録音には、モニターレッドが一番合うと呼ばれるている所以です。

トランジスターアンプの出現は、本当の意味のローインピーダンスの8オームのモニターゴールドと呼ばれるユニットにアップグレードされました。1967年のことです。デュアルコンセントリックスピーカーが開発されてから20年後のことでした。それでも、いまから40年もの前の話です。タンノイと同じ歳に生まれた団塊と呼ばれる私たちは、生まれてから小学生入学までが、モニターブラッック、小学生時代が、モニターシルバー、10代がモニターレッドで、二十歳のときにモニターゴールドが出現したことになります。
1974年になって、コーン紙製造工場を火事で失ったタンノイ社は、西ドイツのコーン紙を購入して強度不足をリブで補強して重くしたHPDシリーズに変わりました。HPDとはハイパフォーマンスドライバーの略です。能率は少し下がり92デシベルで、その分低音方向にワイドレンジかされました。それが、HPD特有の音の重さになっています。
そのHPDシリーズになってから、日本ではティアックが輸入代理店となり大々的な展開が始まりました。アーデン、バークレイ、チェビオット、デーボン、イートンの五種類のキャビネットが出され、同時にタンノイ社の承認をもらって、オートグラフとGRFのキャビネットの再生を試みました。本格的にタンノイ社の監修を受けたキャビネットは、HPDの特性に合わせ、しっかりとしたキャビネットに入れられ、オリジナルより幾分重い音がするようです。しかし、30年以上経った国産のキャビネットは、充分に枯れていい音を出し始めているようです。
タンノイ社の名前の由来は、マグネットの材質、Tantalum-Lead Alloyから来ています。1926年にGuy R. Fountain氏がタンノイ社を設立したときに命名されました。その意味から、世界的なコバルト不足によりアルニコのマグネットが手に入りにくくなり、フェライトタイプ(Anisotropic Barium Ferrite magnets)に代わってしまってからのユニットには、私自身余り魅力を感じられません。後年、アルニコタイプに戻されましたが、エッジの材質やコーン紙の自体の音色、ツイーターとのバランス等で昔の音は戻っては来ません。申し訳ないのですが現在のタンノイ社のSPを使う理由が余り見つけられないからです。私自身は、モニターゴールドが最適だと感じています。HPDのコーン紙を、モニターゴールドのコーン紙に換えるのは、ネットワークの音色の問題が残りますが、エッジを国産の他の材質に換えるよりはるかに懸命な方法だと言えましょう。

モニターシルバーの時代は、モノラルでしたから、ステレオペアーとしては揃っていません。ステレオを想定していないモノラルの時代ですから、ステレオペアーにすると微妙に左右では異なっています。その意味では、モニターレッドの時代からステレオを意識した造りになってきました。コーナー型のキャビネットは、モノラルで広がりを得るために設計されています。ステレオ時代になってから、レキュタンギュラー(四角)型のキャビネットが普及しはじめました。ランカスターと呼ばれる、12インチ向けのバスレフ箱と15インチ向けの密閉型とレキュタンギュラーヨークと呼ばれる15インチ向けのバスレフ型です。コーナーヨークも左右にバスレフスリットを持つ形です。
バスレフ型のキャビネットは、ポートから音が抜けるせいか柔らかですが、密閉型のキャビネット・IIILZやチャトワース・そしてランカスターはキャビネットの材質を薄く造り、響かせて使う音づくりがされています。しっかりしたパワーのあるアンプが要求されますが、少し硬質な響きも、キャビネットが振動されて出てくる響きには納得されます。この手のキャビネットは、どうしてもオリジナルのキャビネットが必要です。反面、バックロードがかかるホーン型は、構造上からくる音の性質上、それほど、オリジナルに固執する費用は無いようです。良く作られた国産キャビネットやレプリカでも、バックロード特有の響きが再現されています。
私自身のGRFは、国産の物です。造りから行って、TEAC社が製造を依頼していた進工舎製だと思われます。しっかりした造りと、見事な塗装は、30年以上経った今でも輝きを失っていません。その長き時間を共有して来たエンクロージャーには、特別な感慨も生まれてきます。自分の成長に合わせて苦労を分かち合ってきたキャビネットを愛情を持って30年、40年という長き時間を共有していくことこそ、オーディオの喜びでもあるからです。
<掲載の写真は"The Monitor GOLD"からです>
by TANNOY-GRF
| 2007-11-14 22:10
| オーディオ雑感
|
Comments(2)
こんばんは。。。
TANNOYの歴史 楽しく拝見いたしました。
低音をいかに出すかが スピーカーの歴史ですね。
私の様な 低音を求めない者には
エンクロージャーとユニットのお話しが新鮮です。
バランスを如何にとるかが 永遠のテーマでしょうね。。。
それにしても 複雑な構造をした同軸ユニットですね。
カット図面を見て再認識しました。
TANNOYの歴史 楽しく拝見いたしました。
低音をいかに出すかが スピーカーの歴史ですね。
私の様な 低音を求めない者には
エンクロージャーとユニットのお話しが新鮮です。
バランスを如何にとるかが 永遠のテーマでしょうね。。。
それにしても 複雑な構造をした同軸ユニットですね。
カット図面を見て再認識しました。

yayoishibainu さん、コメントありがとうございます。いつも拝見しています。JBLとは違う流れですね。エンクロージャーとユニットの関係が面白いです。今更にオリジナルを集めて感動しています。