2008年 08月 08日
SPのセッティング-2 平行法 |
十数年前、復帰前の香港まで、オーディオ機器を買いに行ったことがあります。その頃はケーブルに凝っていました。日本ではとても手が出ない高級ケーブルが、香港では半額以下で買えました。差額だけで往復の旅費と滞在費、美味しい料理が食べられました。一緒に行ったオーディオ仲間の友人も一生の思い出に残る楽しい旅でした。その時、尖沙咀の海洋中心センターにあった高級オーディオ店の試聴室で、アバロンの最高級SPをJeff Rowland のセパレートアンプで鳴らしている音を聴くことが出来ました。
30畳はあるかと思う空間のほぼ真ん中にアバロンは平行に置かれていました。日本の常識では考えられない贅沢な置き方です。部屋の中央付近ですから、左右の壁の影響は受けません。しかし背後の壁を背負っていないので、低音が少し薄いのではと思っていました。音が鳴り始めた時、友達と二人で顔を見合わせました。今までどこでも聴いたことの無い音場と充実した音が鳴り響いたからです。いろいろなCDをかけて貰いました。新しい録音から、コーガンのVn.Concertoまで、いまだにその音は、頭の中で鳴り響いています。そのおとの素晴らしさが、ケーブルやアンプだと思った我々は、それらを購入してきました。それなりの音で鳴ったのですが、香港のあの音はしませんでした。
鳴らない理由をいろいろ考えたのですが、その時はSPの違いや、電圧の違い等だと思っていました。先日、ユニコーンを上手くならすために、様々なポジションに置いて聴いてみました。360度放射するSPなので思い切った位置に置けたのですが、部屋の中央までSPを出してきて鳴らした音が、一番バランスがとれていました。高音部は360度放射ですが、低音部は左右または前後があります。その位置を、ぐるりと回して実験した様子は先月詳しく述べました。その後、小型のSP「T4」を鳴らすときに最初に置いてみたのが、その位置でした。
その位置に置く理由は、二つありました。一つは小型なので迫力ある音を聴くには、なるべく前の方でという事と、平行にSPを置くと、音場は後方に展開します。その場合は後ろのスペースが広い方が音の深みが出ます。それで写真の様な位置になった訳です。床材をよく見ると一枚おきにつなぎ目があります。ここがこの部屋の中央位置です。座っているソファーからみると、中央より前にきて見えます。この位置が、香港でアヴァロンが鳴っていた位置でした。そして、あの分厚い音楽が鳴り響くポイントなのです。
しかし、この位置はただ単に部屋の中央だからという単純な位置ではありません。最適なポイントだと思う位置から、5センチ後ろに下げるとたちまち音量は小さくなり、ステージが遠ざかります。左右の幅もそうです。幅を狭めると、低音は濃密にありますが、重くなり空間が狭くなります。最適なポイントを追いつめていくと最後は、1ミリずれても、すぐ解るようになります。勿論調整はその人の好きなイメージに合わせるしかないわけですが、その時生きてくるのが過去に聴いた事のある響きです。幸いにもヨーロッパの名高いホールに言った経験や、国内でも気に入ったホールで鳴り響いた、好きな演奏の記憶が調整に生きてきます。
残念ながらスタジオで録られて、合成された音ではイメージが合いません。その場合はSPに音が張り付き、人工的なデジタルエフェクトだけが気になります。
SPを平行にした音場が、一番自然です。少しでも内向きになると、その分空間が歪みます。具体的には球形に三次元に拡がっていく音場が、左右に千切れたように様になったり、三角形になってしまいます。後ろに空間が少ない場合は、楕円状になるように聞こえます。内振りにしないと、高音部が物足りなく感じたり、音が薄く聞こえたりした場合は入力系に不自然なところがあるように思えます。そうして最適のポイントにはまるとSP自身の存在が消えるようになります。
ホームランを打ったときや、クラブを振るときなどもそうなんでしょうが、いわゆるスイートスポットにはいると力がいらなくなりますね。そのような感じが、音にも出てきて、力みがないのにどんどん音楽の力が湧いてきます。不思議な感覚です。
それを考えると、別なポイントはどこかでエネルギーを損失しているのでしょう。その損失をカバーするためにいろいろなアクセサリーを使い始めると、泥沼に入っているのでしょう。人のことは言えません。我が家にもそのような過去の遺物がまだ記念碑の様に立ちつくしています。
30畳はあるかと思う空間のほぼ真ん中にアバロンは平行に置かれていました。日本の常識では考えられない贅沢な置き方です。部屋の中央付近ですから、左右の壁の影響は受けません。しかし背後の壁を背負っていないので、低音が少し薄いのではと思っていました。音が鳴り始めた時、友達と二人で顔を見合わせました。今までどこでも聴いたことの無い音場と充実した音が鳴り響いたからです。いろいろなCDをかけて貰いました。新しい録音から、コーガンのVn.Concertoまで、いまだにその音は、頭の中で鳴り響いています。そのおとの素晴らしさが、ケーブルやアンプだと思った我々は、それらを購入してきました。それなりの音で鳴ったのですが、香港のあの音はしませんでした。
鳴らない理由をいろいろ考えたのですが、その時はSPの違いや、電圧の違い等だと思っていました。先日、ユニコーンを上手くならすために、様々なポジションに置いて聴いてみました。360度放射するSPなので思い切った位置に置けたのですが、部屋の中央までSPを出してきて鳴らした音が、一番バランスがとれていました。高音部は360度放射ですが、低音部は左右または前後があります。その位置を、ぐるりと回して実験した様子は先月詳しく述べました。その後、小型のSP「T4」を鳴らすときに最初に置いてみたのが、その位置でした。
その位置に置く理由は、二つありました。一つは小型なので迫力ある音を聴くには、なるべく前の方でという事と、平行にSPを置くと、音場は後方に展開します。その場合は後ろのスペースが広い方が音の深みが出ます。それで写真の様な位置になった訳です。床材をよく見ると一枚おきにつなぎ目があります。ここがこの部屋の中央位置です。座っているソファーからみると、中央より前にきて見えます。この位置が、香港でアヴァロンが鳴っていた位置でした。そして、あの分厚い音楽が鳴り響くポイントなのです。
しかし、この位置はただ単に部屋の中央だからという単純な位置ではありません。最適なポイントだと思う位置から、5センチ後ろに下げるとたちまち音量は小さくなり、ステージが遠ざかります。左右の幅もそうです。幅を狭めると、低音は濃密にありますが、重くなり空間が狭くなります。最適なポイントを追いつめていくと最後は、1ミリずれても、すぐ解るようになります。勿論調整はその人の好きなイメージに合わせるしかないわけですが、その時生きてくるのが過去に聴いた事のある響きです。幸いにもヨーロッパの名高いホールに言った経験や、国内でも気に入ったホールで鳴り響いた、好きな演奏の記憶が調整に生きてきます。
残念ながらスタジオで録られて、合成された音ではイメージが合いません。その場合はSPに音が張り付き、人工的なデジタルエフェクトだけが気になります。
SPを平行にした音場が、一番自然です。少しでも内向きになると、その分空間が歪みます。具体的には球形に三次元に拡がっていく音場が、左右に千切れたように様になったり、三角形になってしまいます。後ろに空間が少ない場合は、楕円状になるように聞こえます。内振りにしないと、高音部が物足りなく感じたり、音が薄く聞こえたりした場合は入力系に不自然なところがあるように思えます。そうして最適のポイントにはまるとSP自身の存在が消えるようになります。
ホームランを打ったときや、クラブを振るときなどもそうなんでしょうが、いわゆるスイートスポットにはいると力がいらなくなりますね。そのような感じが、音にも出てきて、力みがないのにどんどん音楽の力が湧いてきます。不思議な感覚です。
それを考えると、別なポイントはどこかでエネルギーを損失しているのでしょう。その損失をカバーするためにいろいろなアクセサリーを使い始めると、泥沼に入っているのでしょう。人のことは言えません。我が家にもそのような過去の遺物がまだ記念碑の様に立ちつくしています。
by TANNOY-GRF
| 2008-08-08 07:07
| オーディオ雑感
|
Comments(2)
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by
UNICORN
at 2008-08-08 16:30
x
Speakerの位置の問題は本当に頭の痛い問題です!!GRFさんの実験は種々の制限があり中々実験できない方にとっては示唆に富むメッセージが含まれていると思います、またケーブルもこれまた厄介な存在です、単純なパルス伝送であれば、理論でキッチリと説明できますが、なんせAudio機器は全てのSpeakerのインピーダンス特性が異なること、
更に、皆さん学校で習ったフレミングの右手と左手の法則現象がそこに見事に絡み合って複雑怪奇な動きがCable・アンプとの間で起きていることを考えるとCableに深入りしないのはAudio再生においてはある種の良識か??!!と思わず考えてしましますが、そうできないのが人間の人間たる所以かも・・・・・
更に、皆さん学校で習ったフレミングの右手と左手の法則現象がそこに見事に絡み合って複雑怪奇な動きがCable・アンプとの間で起きていることを考えるとCableに深入りしないのはAudio再生においてはある種の良識か??!!と思わず考えてしましますが、そうできないのが人間の人間たる所以かも・・・・・
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by
TANNOY-GRF at 2008-08-09 10:55
ケーブルはやはり変わります。幸いにもSD05は負帰還が無いアンプなので、あまりSPケーブルには影響されませんが、ACケーブルは電源ですから、即効きます。ただオーディオ的に評判の良いものは特別なキャラクターが乗っています。その音が好きかが、大きく影響しますね。それとデジタルケーブルは究極のアナログケーブルですから大きな影響があります。高価なケーブルが必ずしも良くないのは、救いですね。