2013年 06月 10日
ミューザ川崎の東響コンサート |
昨日の日曜日は、震災で、天井の反射板等が落下して、二年半ものブランクから、今年の4月にようやく再スタートを切った、ミューザ川崎での東京交響楽団の演奏会に行ってきました。先月、仕事で川崎にいたとき、待ち合わせが川崎駅だったので、そのとき、ミューザを訪れて、今日のコンサートのチケットを購入しました。演奏曲目は松居直美さんのオルガン演奏と飯森 範親氏の指揮で東京交響楽団の演奏で、J.S.バッハ:トッカータ、アダージョとフーガ ハ長調 BWV.564〈オルガン独奏〉アルビノーニ:オルガンと弦楽のためのアダージョ ト短調、そしてマーラー:交響曲 第5番 嬰ハ短調でした。オルガンとマーラーが両方聴ける!嬉しい企画です。
復旧なったMUSAのホールに鳴り響く豪快なオルガンを期待していました。冬に出かけた新潟のオルガンは素晴らしい音がしました。偶然ですが、ここミューザ川崎と新潟のリュートピアは、両方とも今日演奏する東京交響楽団のフランチャイズです。東京交響楽団は、響きの良いホールを持てて幸せですね。しかし、このホールが、震災の揺れで天井が落下して、二年半もジプシー生活を余儀なくされたのですから、解らないものです。
家から川崎までは、約一時間。実は、上野の文化会館へ行くのと余り変わらないのですが、東京駅か品川駅の乗り換えになるので、何だか遠くに来たような気がします。川崎駅は凄い混雑でした。余りの人混みにたじたじです。大宮駅といい勝負している感じです。品川の構内の食堂も行列が出来ていたので、素通りしてきたのですが、川崎駅の周辺のお店の方が、満員でした。川崎は人が多すぎます。
ミューザのホールは、独特の形をしています。ステージから、ゆっくりと渦を巻いているように立ち上がります。右と左の席が対称ではないのです。床が少しずつ斜めに傾斜しています。二階席のセンターからみると正面にステージが見えますが、今日の席の2CBは前の3Cで、本当は三階席なのです。本来の二階席は、2CAと呼ばれています。ホールに来ないと解りません。その二階席は、少しステージに近い気もしますので、今少し高い2CBを選んだのですが、そこから見ると、ステージは、谷間の中に有るように見えます。難しいですね。2CBの一番前か、2CAの一番後ろが距離的には良いように思えます。番号的には中央の25番では、全体が左に寄っているので、写真のように左にずれています。
期待のオルガンが始まりました。ところが・・・
そのオルガンの音が、小さいのです。空気感がないと言うべきか、音がホールに響きません。やはり、三階席の横の方が良かったのかもしれません。新潟と違ってステージの後ろにも席が大きいので、距離が遠くなるようです。おんりょうは距離の自乗で違ってきますから、遥か向こうの遠いところで演奏されているように感じました。二曲目のアルビノーリのアダージョでは、小編成のオーケストラが谷間に入って様な音で、音が浮かび上がってきません。席の選定が間違ったのかもしれませんが、低音の響きが、ホールに拡がらないで、どこかに吸い込まれていくような感じです。曲も静かな曲なので、午後、二時頃聴いたら、そのまま睡魔に襲われます。
休憩時間に、眠気覚ましに白ワインを頂きました。販売の女の子にたっぷり入れてと言ったら、サービスしてくれたようです(笑)。しかし、目が醒めるような酸っぱい味で、気付け薬には良かったのですが・・・。
さて、気を取り直してこんどは、大編成のマーラー第5番です。16型の弦楽器構成ですからステージ一杯です。金管は、ホルンが8本並んだ4管編成です。冒頭のトランペットは、祈るような気持ちで聴きましたが、残念ながら音程が不安定でした。東京交響楽団よおまえもか!という感じでした。マーラーの第5番の冒頭のトランペットは、トランペット吹きの憧れの曲の筈です。子供の時から、何十年もやってきて、どうしてあのように音程が不安定になるのでしょう。オリンピックで、ケアレスミスをして、予選落ちしたようなものです。管が暖まらない等の理由はいくらでも言えますが、ヨーロッパのオーケストラでこの様な音は聴いたことがありません。プロならカネ返せと言いたいですね。おかげで第一楽章は、バラバラでした。チェロは10人でしたが、その音が聞こえてきません。コントラバスも手は動いているのですが、音が伝わらないのです。場所が悪かったか!と思っていました。
それでもオーケストラは、パートごとに音程が食い違っているように聞こえます。トランペットが低め、ホルンは上手いのですが、少し音程が高め、クラリネットも高め、ファゴットもフルートも音程がバラバラに聞こえます。指揮者の飯盛さんは、だんだんモーションが大きくなります。去年に聴いた山形交響楽団の時もそうでしたが、身体全体を使って、応援団のように大きな身振りで自分の意志を伝えます。第一楽章後半に入り、音がようやく鳴り始めました。それでも、低域のうねるような響きが薄いのです。ティンパニーが遠慮して叩いているのでしょうか?大太鼓は、まともですし、その他の打楽器は、よく聞こえます。私には、ティンパニーの演奏スタイルが、おっかなビックリに聞こえました。マーラーやブルックナーでティンパニーが引っ込み思案では、始まりません。
東京交響楽団は、若手のメンバー中心に構成されています。大変きれいにアンサンブルは揃っていますが、力強さが欠けます。音に覇気が感じられないのです。どうしても、表面的で、内面からのうなるような感じが足りません。これは、東京交響楽団ばかりの問題ではなく、N響も読響も同じです。弦楽器が上手いなあと感じるのは都響ぐらいでしょうか?ボーイングその物にも問題があると思います。バイエルンも、ドレスデンも、勿論、ベルリンやコンセルヘボウも弦楽器の音量がまったく違いますよ。今の演奏からは力強い音が聞こえてこないのです。指揮者が、いくら身体を動かしても、乗りが悪いダンサーの様な演奏です。
三楽章に入るとき、指揮者が、一旦指揮台から降りて、コンサートマスターにチューニングをやり直しさせました。やはり音程がずれているのです。例えはおかしいかもしれませんが、家のSPも位置が微妙にずれていると、低音楽器のエネルギー感がまったく違って聞こえます。オーケストラも音程が合わないと、響きが薄くなります。
第三楽章冒頭の力強いホルンの安定した響きに、ようやくオーケストラ全体が、目覚めたようです。ようやく安心して聴けるようになりました。気になっていた木管の響きも安定して、クラリネットの音が聞こえはじめました。トロンボーン群も安定しました。トランペットは、1番以外は、安心して聴けます。1番のトランペットは、音に「溜め」と「思い」がないのです。他の楽器に渡すだけ、弾いているという感じです。剣道や野球の素振りのいわゆる残心がないのですね。音が終わるとフェードアウトしないで、音が途切れるのです。マウスを口から離すのが早すぎるのですね。イヤイヤ弾いている様な感じです。
曲が進むにつれてそのイライラも徐々に薄まって、オーケストラもようやく暖まってきたようです。第4楽章のアダージョはきれいでした。ここでも、音が薄かったのは、やはりホールの響きが薄いのではと思いました。もっと力のある、ベルリンフィルのようなオーケストラには、音が濁らず、演奏者が気持ち良く弾けるのかもしれません。きれいなだけど、音が小さいと感じました。若い演奏家がメインのオーケストラでは、アマチュアの先週も感じたのですが、音が薄い原因には、楽器自体の質が上げられます。音が柔くありません。響きがどうしてもきつかったり淡泊になるのは仕方がないのかもしれません。外国のオーケストラとの響きの差は、楽器自体の差もあるような気がします。今日のアダージョを聴いていてそんな事を感じました。
終楽章は、今までの不満が解消されてまとまりが出て来ました。最初からこの感じで、演奏してくれたら良かったのですが。私は、日曜の午後の演奏会の音で満足した記憶が少ないのです。演奏は、夜の方が充実していますね。三日間公演でしたら、最後の日曜日は、やはり昼間の方が多いので、不完全燃焼のまま終わるような気がします。
若いオーケストラだと言ってしまえば、それまでですが、ベネゼエラのヤングオーケストラの様な例もあります。冒頭のトランペットの安定がどれほど、演奏全体に影響を及ぼすか、頑張って欲しいものです。
そんなわけで、オルガンの音量にも、フルオーケストラの響きにも、小ささと薄さを感じてしまった演奏会でした。日曜なので、快速が止まらない高円寺に電車を乗り継いで戻ってきてから、初めての店で、Oさんと飲んだ国産の白ワインも、事前にお店の人に相談したにもかかわらず。若くて薄いワインでした。やはり、外国の濃いワインにすれば良かったようです。
復旧なったMUSAのホールに鳴り響く豪快なオルガンを期待していました。冬に出かけた新潟のオルガンは素晴らしい音がしました。偶然ですが、ここミューザ川崎と新潟のリュートピアは、両方とも今日演奏する東京交響楽団のフランチャイズです。東京交響楽団は、響きの良いホールを持てて幸せですね。しかし、このホールが、震災の揺れで天井が落下して、二年半もジプシー生活を余儀なくされたのですから、解らないものです。
家から川崎までは、約一時間。実は、上野の文化会館へ行くのと余り変わらないのですが、東京駅か品川駅の乗り換えになるので、何だか遠くに来たような気がします。川崎駅は凄い混雑でした。余りの人混みにたじたじです。大宮駅といい勝負している感じです。品川の構内の食堂も行列が出来ていたので、素通りしてきたのですが、川崎駅の周辺のお店の方が、満員でした。川崎は人が多すぎます。
ミューザのホールは、独特の形をしています。ステージから、ゆっくりと渦を巻いているように立ち上がります。右と左の席が対称ではないのです。床が少しずつ斜めに傾斜しています。二階席のセンターからみると正面にステージが見えますが、今日の席の2CBは前の3Cで、本当は三階席なのです。本来の二階席は、2CAと呼ばれています。ホールに来ないと解りません。その二階席は、少しステージに近い気もしますので、今少し高い2CBを選んだのですが、そこから見ると、ステージは、谷間の中に有るように見えます。難しいですね。2CBの一番前か、2CAの一番後ろが距離的には良いように思えます。番号的には中央の25番では、全体が左に寄っているので、写真のように左にずれています。
期待のオルガンが始まりました。ところが・・・
そのオルガンの音が、小さいのです。空気感がないと言うべきか、音がホールに響きません。やはり、三階席の横の方が良かったのかもしれません。新潟と違ってステージの後ろにも席が大きいので、距離が遠くなるようです。おんりょうは距離の自乗で違ってきますから、遥か向こうの遠いところで演奏されているように感じました。二曲目のアルビノーリのアダージョでは、小編成のオーケストラが谷間に入って様な音で、音が浮かび上がってきません。席の選定が間違ったのかもしれませんが、低音の響きが、ホールに拡がらないで、どこかに吸い込まれていくような感じです。曲も静かな曲なので、午後、二時頃聴いたら、そのまま睡魔に襲われます。
休憩時間に、眠気覚ましに白ワインを頂きました。販売の女の子にたっぷり入れてと言ったら、サービスしてくれたようです(笑)。しかし、目が醒めるような酸っぱい味で、気付け薬には良かったのですが・・・。
さて、気を取り直してこんどは、大編成のマーラー第5番です。16型の弦楽器構成ですからステージ一杯です。金管は、ホルンが8本並んだ4管編成です。冒頭のトランペットは、祈るような気持ちで聴きましたが、残念ながら音程が不安定でした。東京交響楽団よおまえもか!という感じでした。マーラーの第5番の冒頭のトランペットは、トランペット吹きの憧れの曲の筈です。子供の時から、何十年もやってきて、どうしてあのように音程が不安定になるのでしょう。オリンピックで、ケアレスミスをして、予選落ちしたようなものです。管が暖まらない等の理由はいくらでも言えますが、ヨーロッパのオーケストラでこの様な音は聴いたことがありません。プロならカネ返せと言いたいですね。おかげで第一楽章は、バラバラでした。チェロは10人でしたが、その音が聞こえてきません。コントラバスも手は動いているのですが、音が伝わらないのです。場所が悪かったか!と思っていました。
それでもオーケストラは、パートごとに音程が食い違っているように聞こえます。トランペットが低め、ホルンは上手いのですが、少し音程が高め、クラリネットも高め、ファゴットもフルートも音程がバラバラに聞こえます。指揮者の飯盛さんは、だんだんモーションが大きくなります。去年に聴いた山形交響楽団の時もそうでしたが、身体全体を使って、応援団のように大きな身振りで自分の意志を伝えます。第一楽章後半に入り、音がようやく鳴り始めました。それでも、低域のうねるような響きが薄いのです。ティンパニーが遠慮して叩いているのでしょうか?大太鼓は、まともですし、その他の打楽器は、よく聞こえます。私には、ティンパニーの演奏スタイルが、おっかなビックリに聞こえました。マーラーやブルックナーでティンパニーが引っ込み思案では、始まりません。
東京交響楽団は、若手のメンバー中心に構成されています。大変きれいにアンサンブルは揃っていますが、力強さが欠けます。音に覇気が感じられないのです。どうしても、表面的で、内面からのうなるような感じが足りません。これは、東京交響楽団ばかりの問題ではなく、N響も読響も同じです。弦楽器が上手いなあと感じるのは都響ぐらいでしょうか?ボーイングその物にも問題があると思います。バイエルンも、ドレスデンも、勿論、ベルリンやコンセルヘボウも弦楽器の音量がまったく違いますよ。今の演奏からは力強い音が聞こえてこないのです。指揮者が、いくら身体を動かしても、乗りが悪いダンサーの様な演奏です。
三楽章に入るとき、指揮者が、一旦指揮台から降りて、コンサートマスターにチューニングをやり直しさせました。やはり音程がずれているのです。例えはおかしいかもしれませんが、家のSPも位置が微妙にずれていると、低音楽器のエネルギー感がまったく違って聞こえます。オーケストラも音程が合わないと、響きが薄くなります。
第三楽章冒頭の力強いホルンの安定した響きに、ようやくオーケストラ全体が、目覚めたようです。ようやく安心して聴けるようになりました。気になっていた木管の響きも安定して、クラリネットの音が聞こえはじめました。トロンボーン群も安定しました。トランペットは、1番以外は、安心して聴けます。1番のトランペットは、音に「溜め」と「思い」がないのです。他の楽器に渡すだけ、弾いているという感じです。剣道や野球の素振りのいわゆる残心がないのですね。音が終わるとフェードアウトしないで、音が途切れるのです。マウスを口から離すのが早すぎるのですね。イヤイヤ弾いている様な感じです。
曲が進むにつれてそのイライラも徐々に薄まって、オーケストラもようやく暖まってきたようです。第4楽章のアダージョはきれいでした。ここでも、音が薄かったのは、やはりホールの響きが薄いのではと思いました。もっと力のある、ベルリンフィルのようなオーケストラには、音が濁らず、演奏者が気持ち良く弾けるのかもしれません。きれいなだけど、音が小さいと感じました。若い演奏家がメインのオーケストラでは、アマチュアの先週も感じたのですが、音が薄い原因には、楽器自体の質が上げられます。音が柔くありません。響きがどうしてもきつかったり淡泊になるのは仕方がないのかもしれません。外国のオーケストラとの響きの差は、楽器自体の差もあるような気がします。今日のアダージョを聴いていてそんな事を感じました。
終楽章は、今までの不満が解消されてまとまりが出て来ました。最初からこの感じで、演奏してくれたら良かったのですが。私は、日曜の午後の演奏会の音で満足した記憶が少ないのです。演奏は、夜の方が充実していますね。三日間公演でしたら、最後の日曜日は、やはり昼間の方が多いので、不完全燃焼のまま終わるような気がします。
若いオーケストラだと言ってしまえば、それまでですが、ベネゼエラのヤングオーケストラの様な例もあります。冒頭のトランペットの安定がどれほど、演奏全体に影響を及ぼすか、頑張って欲しいものです。
そんなわけで、オルガンの音量にも、フルオーケストラの響きにも、小ささと薄さを感じてしまった演奏会でした。日曜なので、快速が止まらない高円寺に電車を乗り継いで戻ってきてから、初めての店で、Oさんと飲んだ国産の白ワインも、事前にお店の人に相談したにもかかわらず。若くて薄いワインでした。やはり、外国の濃いワインにすれば良かったようです。
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by TANNOY-GRF
| 2013-06-10 04:17
| 演奏会場にて
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